講演情報
[認定P-24]禁食となっていた高齢脳性麻痺患者の全量経口摂取が可能になった症例
○濵田 雅弘1、野原 幹司2 (1. 大阪大学歯学部附属病院 顎口腔機能治療部、2. 大阪大学大学院歯学研究科 顎口腔機能治療学講座)
【緒言・目的】
本症例は高齢な脳性麻痺患者であったことから,嚥下障害があると判断され禁食となった。しかし,年齢や既往歴だけではなく嚥下機能を含めた全身状態を考慮した上で経口摂取が可能と判断し,再開したところ全量摂取にまで至った1例を経験したので報告する。
【症例および経過】
65歳,女性。脳性麻痺,てんかんの既往あり。ペースト食を全量経口摂取していた。2024年12月に誤嚥性肺炎の診断で他院に入院し,嚥下機能の低下を理由に経口摂取を禁止され胃瘻造設となった。2025年4月に経口摂取が可能かの嚥下機能評価を目的に当院を受診した。初診時の嚥下内視鏡検査ではゼリーの喉頭侵入はみられたが,誤嚥はみられなかったため直接訓練を開始した。同年5月に実施した嚥下造影検査においてもペースト食の誤嚥はみられなかった。嚥下機能検査の結果と経口摂取の禁止という対応に乖離があったため,入院をしていた病院に誤嚥性肺炎時の血液検査および胸部CTの検査結果の問い合わせを行ったところ,入院中の血液検査では軽度の炎症所見しか見られず,胸部CTにおいても誤嚥性肺炎を疑う所見はなかった。これらの検査結果からペースト食を1日1食経口摂取することが可能と判断し,開始した。食事中のムセや熱発等の誤嚥を疑う所見はない状態で経過し,患者の食欲もあったことから全量経口摂取に移行した。その後も問題なく経過したため終診となった。なお,本報告の発表について患者の代諾者から同意を得ている。
【考察】
脳性麻痺患者は嚥下障害の有病率が高いことや老化現象が早期に起こることから加齢による嚥下機能の低下には注意が必要である。しかし,脳性麻痺の症状は非進行性であるため,急激な嚥下機能の低下が生じるわけではない。本症例は入院前まで全量経口摂取をしており,嚥下機能検査で誤嚥がなかったことから禁食になるほどの嚥下機能の低下は考えにくかった。このことから誤嚥性肺炎の診断を疑った。入院中の検査結果から,誤嚥性肺炎を疑う所見はなく,高齢な脳性麻痺患者であったことを理由に禁食になったと推察された。本症例から脳性麻痺のような嚥下障害の原因となりうる疾患の既往があったとしても,その疾患の特性を理解した上で,嚥下機能を含めた全身状態の把握を行い,総合的に判断することで経口摂取が可能な場合があると考えられた。
(COI開示:なし)
(倫理審査対象外)
本症例は高齢な脳性麻痺患者であったことから,嚥下障害があると判断され禁食となった。しかし,年齢や既往歴だけではなく嚥下機能を含めた全身状態を考慮した上で経口摂取が可能と判断し,再開したところ全量摂取にまで至った1例を経験したので報告する。
【症例および経過】
65歳,女性。脳性麻痺,てんかんの既往あり。ペースト食を全量経口摂取していた。2024年12月に誤嚥性肺炎の診断で他院に入院し,嚥下機能の低下を理由に経口摂取を禁止され胃瘻造設となった。2025年4月に経口摂取が可能かの嚥下機能評価を目的に当院を受診した。初診時の嚥下内視鏡検査ではゼリーの喉頭侵入はみられたが,誤嚥はみられなかったため直接訓練を開始した。同年5月に実施した嚥下造影検査においてもペースト食の誤嚥はみられなかった。嚥下機能検査の結果と経口摂取の禁止という対応に乖離があったため,入院をしていた病院に誤嚥性肺炎時の血液検査および胸部CTの検査結果の問い合わせを行ったところ,入院中の血液検査では軽度の炎症所見しか見られず,胸部CTにおいても誤嚥性肺炎を疑う所見はなかった。これらの検査結果からペースト食を1日1食経口摂取することが可能と判断し,開始した。食事中のムセや熱発等の誤嚥を疑う所見はない状態で経過し,患者の食欲もあったことから全量経口摂取に移行した。その後も問題なく経過したため終診となった。なお,本報告の発表について患者の代諾者から同意を得ている。
【考察】
脳性麻痺患者は嚥下障害の有病率が高いことや老化現象が早期に起こることから加齢による嚥下機能の低下には注意が必要である。しかし,脳性麻痺の症状は非進行性であるため,急激な嚥下機能の低下が生じるわけではない。本症例は入院前まで全量経口摂取をしており,嚥下機能検査で誤嚥がなかったことから禁食になるほどの嚥下機能の低下は考えにくかった。このことから誤嚥性肺炎の診断を疑った。入院中の検査結果から,誤嚥性肺炎を疑う所見はなく,高齢な脳性麻痺患者であったことを理由に禁食になったと推察された。本症例から脳性麻痺のような嚥下障害の原因となりうる疾患の既往があったとしても,その疾患の特性を理解した上で,嚥下機能を含めた全身状態の把握を行い,総合的に判断することで経口摂取が可能な場合があると考えられた。
(COI開示:なし)
(倫理審査対象外)
