講演情報
[認定P-28]外傷性両側舌咽・迷走神経不全麻痺に伴う重度摂食嚥下障害に対し,摂食嚥下リハビリテーションを行い常食摂取が可能となった症例
○佐藤 理加子1,2、谷口 裕重2 (1. 新潟大学大学院医歯学総合研究科包括歯科補綴学分野、2. 朝日大学歯学部口腔病態医療学講座摂食嚥下リハビリテーション学分野)
【緒言・目的】
頭蓋底骨折による嚥下障害の報告は少ないが,嚥下障害が重度の場合は外科的に嚥下改善術等が必要となった報告もある。摂食嚥下リハビリテーション目的に当院に入院し,VEおよびVF,高解像度マノメトリー(HRM)の評価を基に,摂食嚥下サポートチーム(SST)と協力して,集中的にリハビリを行うとともに頸部回旋法などの代償法やPLPを用いたことで,1日1食ではあるが常食の摂取が可能となった1例を経験したので報告する。患者本人からの同意を得た。
【症例および経過】
2024/3/31頭蓋底骨折後に舌咽・迷走神経麻痺が出現し,重度の嚥下障害となったため,4/4に胃瘻造設となった。5/2摂食嚥下リハビリテーション目的に当院耳鼻科に転院となり,同時に当科初診となった。認知機能低下は無く,歯周状態は良好であった。口腔機能精密検査の結果,口腔乾燥,咬合力,咀嚼機能以外の4項目が口腔機能低下症診断基準に該当していた。5/7VE・VFの結果,軟口蓋挙上は両側とも不良,唾液誤嚥,声門閉鎖不全,中間のとろみ摂取時に喉頭侵入,喉頭蓋谷および梨状窩に残留,鼻咽腔への逆流を認めた。正面像では食道内での停滞,逆流を認め,胃瘻による栄養管理を継続とした。中間のとろみは右側頸部回旋・頸部前屈位で誤嚥を認めず直接訓練は可能と判断した(摂食嚥下能力グレード3)。HRMでは咽頭圧形成不全および食道入口部の弛緩を認めた。口腔機能低下症に対し舌訓練を開始,鼻咽腔閉鎖不全に対し,PLPを製作し,言語聴覚士による舌訓練・構音訓練も開始した。5/18〜嚥下調整食1を用いた直接訓練,1週間ごとに食形態調整を行い,6/7〜嚥下調整食3,軟口蓋挙上装置を用いず常食の摂取が可能となったが食事に1時間弱かかるため,夕食時にのみ経口摂取している。(摂食嚥下能力グレード5)
【考察】
軟口蓋挙不良に対し軟口蓋挙上装置を使用することで,軟口蓋への逆流は改善した。声門閉鎖不全のため誤嚥リスクは高いが,咽頭残留に対する代償法として右頸部回旋および頸部前屈位での直接訓練を実施したことで,咽頭残留量の減少と誤嚥の回避することができた。口腔機能低下症に対する舌訓練を実施することで,舌圧や舌運動の巧緻性が改善され,スムーズな食塊形成が可能となり1食ではあるが常食摂取が可能となったと考えられる。(COI 開示:なし)(倫理審査対象外)
頭蓋底骨折による嚥下障害の報告は少ないが,嚥下障害が重度の場合は外科的に嚥下改善術等が必要となった報告もある。摂食嚥下リハビリテーション目的に当院に入院し,VEおよびVF,高解像度マノメトリー(HRM)の評価を基に,摂食嚥下サポートチーム(SST)と協力して,集中的にリハビリを行うとともに頸部回旋法などの代償法やPLPを用いたことで,1日1食ではあるが常食の摂取が可能となった1例を経験したので報告する。患者本人からの同意を得た。
【症例および経過】
2024/3/31頭蓋底骨折後に舌咽・迷走神経麻痺が出現し,重度の嚥下障害となったため,4/4に胃瘻造設となった。5/2摂食嚥下リハビリテーション目的に当院耳鼻科に転院となり,同時に当科初診となった。認知機能低下は無く,歯周状態は良好であった。口腔機能精密検査の結果,口腔乾燥,咬合力,咀嚼機能以外の4項目が口腔機能低下症診断基準に該当していた。5/7VE・VFの結果,軟口蓋挙上は両側とも不良,唾液誤嚥,声門閉鎖不全,中間のとろみ摂取時に喉頭侵入,喉頭蓋谷および梨状窩に残留,鼻咽腔への逆流を認めた。正面像では食道内での停滞,逆流を認め,胃瘻による栄養管理を継続とした。中間のとろみは右側頸部回旋・頸部前屈位で誤嚥を認めず直接訓練は可能と判断した(摂食嚥下能力グレード3)。HRMでは咽頭圧形成不全および食道入口部の弛緩を認めた。口腔機能低下症に対し舌訓練を開始,鼻咽腔閉鎖不全に対し,PLPを製作し,言語聴覚士による舌訓練・構音訓練も開始した。5/18〜嚥下調整食1を用いた直接訓練,1週間ごとに食形態調整を行い,6/7〜嚥下調整食3,軟口蓋挙上装置を用いず常食の摂取が可能となったが食事に1時間弱かかるため,夕食時にのみ経口摂取している。(摂食嚥下能力グレード5)
【考察】
軟口蓋挙不良に対し軟口蓋挙上装置を使用することで,軟口蓋への逆流は改善した。声門閉鎖不全のため誤嚥リスクは高いが,咽頭残留に対する代償法として右頸部回旋および頸部前屈位での直接訓練を実施したことで,咽頭残留量の減少と誤嚥の回避することができた。口腔機能低下症に対する舌訓練を実施することで,舌圧や舌運動の巧緻性が改善され,スムーズな食塊形成が可能となり1食ではあるが常食摂取が可能となったと考えられる。(COI 開示:なし)(倫理審査対象外)
