講演情報
[認定P-29]大動脈解離術後,両側声帯麻痺と食道蠕動運動障害を認めた患者に対し,早期の嚥下機能評価,訓練を行い経口摂取を継続した症例
○伊藤 郁乃1、植田 耕一郎1 (1. 日本大学歯学部摂食機能療法学講座)
【緒言・目的】
大動脈バイパス術は手術の侵襲性が大きく,反回神経麻痺による嗄声や嚥下障害を合併することがある。今回,術後に認めた両側声帯麻痺に対しリハビリ指導と合わせて栄養指導を入院中から退院後も実施し経口摂取を継続した経験をしたので報告する。
【症例および経過】
74歳,女性。くも膜下出血,大動脈解離スタンフォードA型の既往あり。令和7年7月に入院し,術後「喉につかえる感じがする」ことを主訴に,本学医科病院からの依頼で訪問診療を開始。初診時の嚥下内視鏡検査にて,唾液の貯留は認めないが,声帯は両側傍正中固定しほとんど動かない状態。準備期・口腔期障害を疑う所見はなく,中間とろみ水分,ペースト食は嚥下後喉頭蓋谷に少量残留を認める程度で検査上喉頭侵入は認めなかったが,咳と同時に嘔吐様の所見がみられたため,食道逆流と嚥下中誤嚥の可能性を考慮し嚥下造影検査を実施した。嚥下中誤嚥は認めなかったが,胸部食道〜LESにて蠕動運動障害を認め,声門閉鎖に伴うリスクだけでなく,食道期障害による嘔吐リスク高いことが問題と考えた。消化器内科への対診を依頼し診察の結果,少量ずつ摂取することで対応可能との判断で食事は継続した。当科では,とろみ付与を指示,息こらえ嚥下,プッシングプリング訓練を指導し,退院後も月に1度の頻度で外来にてフォローを継続している。現在,声門閉鎖不全は残存しているが,左側の声帯の動きに改善が見られる。活動量の増加に合わせて食事への意欲も出ており,術後減少した体重を増加させることを目標にリハビリ指導と合わせて栄養指導を行っている。なお、本報告の発表について患者本人から同意を得ている。
【考察】
本症例は,術後半年経過した現在も麻痺は残存しているが,月1度の頻度で声帯の運動改善のためプッシング訓練,とろみ付与などの指導を行っており,誤嚥兆候は認めず現在に至っている。また,外来受診は本人の自宅での訓練継続への励みとなることより,誤嚥性肺炎予防だけでなく,栄養状態の評価,合併症予防および機能回復の観点から有用であり,多角的に行うことで機能維持・改善につながり患者のADL,QOLの向上に寄与していると考えられる。(COI開示:なし,倫理審査対象外)
大動脈バイパス術は手術の侵襲性が大きく,反回神経麻痺による嗄声や嚥下障害を合併することがある。今回,術後に認めた両側声帯麻痺に対しリハビリ指導と合わせて栄養指導を入院中から退院後も実施し経口摂取を継続した経験をしたので報告する。
【症例および経過】
74歳,女性。くも膜下出血,大動脈解離スタンフォードA型の既往あり。令和7年7月に入院し,術後「喉につかえる感じがする」ことを主訴に,本学医科病院からの依頼で訪問診療を開始。初診時の嚥下内視鏡検査にて,唾液の貯留は認めないが,声帯は両側傍正中固定しほとんど動かない状態。準備期・口腔期障害を疑う所見はなく,中間とろみ水分,ペースト食は嚥下後喉頭蓋谷に少量残留を認める程度で検査上喉頭侵入は認めなかったが,咳と同時に嘔吐様の所見がみられたため,食道逆流と嚥下中誤嚥の可能性を考慮し嚥下造影検査を実施した。嚥下中誤嚥は認めなかったが,胸部食道〜LESにて蠕動運動障害を認め,声門閉鎖に伴うリスクだけでなく,食道期障害による嘔吐リスク高いことが問題と考えた。消化器内科への対診を依頼し診察の結果,少量ずつ摂取することで対応可能との判断で食事は継続した。当科では,とろみ付与を指示,息こらえ嚥下,プッシングプリング訓練を指導し,退院後も月に1度の頻度で外来にてフォローを継続している。現在,声門閉鎖不全は残存しているが,左側の声帯の動きに改善が見られる。活動量の増加に合わせて食事への意欲も出ており,術後減少した体重を増加させることを目標にリハビリ指導と合わせて栄養指導を行っている。なお、本報告の発表について患者本人から同意を得ている。
【考察】
本症例は,術後半年経過した現在も麻痺は残存しているが,月1度の頻度で声帯の運動改善のためプッシング訓練,とろみ付与などの指導を行っており,誤嚥兆候は認めず現在に至っている。また,外来受診は本人の自宅での訓練継続への励みとなることより,誤嚥性肺炎予防だけでなく,栄養状態の評価,合併症予防および機能回復の観点から有用であり,多角的に行うことで機能維持・改善につながり患者のADL,QOLの向上に寄与していると考えられる。(COI開示:なし,倫理審査対象外)
