講演情報

[認定P-33]左上顎骨薬剤関連顎骨壊死に対する部分切除術後に顎補綴治療を行った症例

○椎名 哲郎1、吉田 光由1 (1. 藤田医科大学医学部歯科・口腔外科学講座)
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【緒言・目的】
 近年, 薬剤関連顎骨壊死(MRONJ)の多くは治癒可能な疾患であることが明らかとなってきたことから, 疾患の「治癒」を目指す外科療法が積極的に実施されるようになってきた。一方で,顎骨切除に伴う組織欠損による術後の口腔機能低下は避けられない。当科ではMRONJに対する外科療法後,補綴治療までを一貫して実施しており, 今回, 外科療法の術前後ならびに顎義歯による補綴治療後の口腔機能検査を実施した1例について報告する。なお,本報告の発表については患者本人から同意を得ている。
【症例および経過】
 81 歳,男性。前立腺癌多発骨転移(T3bN1M1)に対し, 2023年2月よりデノスマブ120mgを使用していた。同年6月に左上大臼歯部の歯肉腫脹を認めたためかかりつけ歯科受診, 左上6番7番の抜歯術が施行された。術後に抜歯後治癒不全, 左上2〜7番までの歯肉腫脹や排膿を認め, 精査加療目的に当科紹介受診した。CT所見から左上顎MRONJステージ2と診断, 左上顎結節から右上2番までの顎骨部分切除術をする治療計画を立案した。また, 創部治癒促進のために術前後にそれぞれ5回の高気圧酸素療法も計画した。手術は口腔外科専門医の指導のもと実施され, 術後は創部感染等も認めず治癒は良好であった。術後1.5ヶ月には顎義歯治療を補綴歯科専門医の指導のもと開始, 通法に従って義歯作製, 術後3ヶ月で装着した。咬合力検査結果は, 術前が328.6N, 術後が432.1Nであったのに対し, 顎補綴後は233.2Nと低下していた。咀嚼能力検査は術前が52mg/dLであったのに対し, 術後は184mg/dL, 顎補綴後は207mg/dLと改善していた。
【考察】
 顎骨壊死検討委員会ポジションペーパー2023では, MRONJステージ2では全身状態が許せば外科的治療を優先するとされており, 本症例も高気圧酸素療法を併用した外科的治療により術後経過は良好であった。顎補綴後も咬合力の改善は認められなかったものの咀嚼能力検査の結果は向上しており, 患者からも食べやすくなったとの回答を得た。顎欠損により咬合力そのものは低下したものの, 疼痛の改善や顎補綴により食塊形成がしやすくなったことが咀嚼能力の改善に繋がったものと考えられる。
(COI開示:なし)
(倫理審査対象外)