講演情報

[認定P-35]糖尿病のコントロールが不良となっている患者に対し,義歯製作ならびに口腔機能訓練を行った症例

○堀之内 玲耶1、西 恭宏1 (1. 鹿児島大学 大学院医歯学総合研究科 口腔顎顔面補綴学分野)
PDFダウンロードPDFダウンロード
【緒言・目的】
 高齢者糖尿病は認知機能障害,フレイル,ADL低下,サルコペニアなどの老年症候群をきたしやすく,高齢者の糖尿病のコントロールは重要となっている。また,加齢等による唾液分泌の低下は,食塊形成や食物摂取に影響を与える。本症例は,糖尿病のコントロールが不良で口腔乾燥を呈していた高齢患者に対し,上下顎全部床義歯の新製による咀嚼機能回復とともに口腔機能管理を実施し,全身状態が改善した症例である。
【症例および経過】
 患者は67歳男性。初診時に上下顎に全部床義歯を使用していたが,人工歯のすり減りにより,あまり咀嚼できずに食べ物を飲み込んでいることを自覚していた。HbA1cは6.3から7.5へと急激な悪化を認めており,かかりつけ内科で食事療法および運動療法の指導を受けていた。使用中の義歯人工歯の咬耗による咀嚼の不十分さもHbA1c悪化の一因と考えられたため,上下顎全部床義歯の新製を行うことで咀嚼機能の改善を図りつつ,食事は咀嚼回数を増やしゆっくりと時間をかけるよう指導した。グルコセンサーによる咀嚼機能検査は,治療前後で改善を認めている。また、義歯新製前の口腔機能検査では口腔水分量(ムーカス)と舌圧に低下を認めたため,口腔機能訓練を実施し,その結果,口腔水分量(ムーカス)と舌圧はともに改善した。治療後の体重は減少し,HbA1cは6.8と改善を認め,糖尿病は良好にコントロールされている。
 なお本報告の発表については,患者から文書による同意を得ている。
【考察】
 上下顎全部床義歯の新製により咀嚼機能が改善され,口腔機能訓練の介入により,口腔乾燥が改善され舌圧は維持された。また、食事習慣に対する指導も糖尿病コントロールに役立ったのではないかと考えられる。今後も血糖値のコントロール状況を含めた全身状態の状況を勘案しながら,口腔管理を継続する必要がある。
(COI 開示:なし)
(倫理審査対象外)