講演情報
[認定P-37]上咽頭癌術後の機能障害に対して軟口蓋挙上装置を作製し経口摂取を再開した症例
○石宮 舞1、長谷 剛志1,2 (1. 金沢大学附属病院 歯科口腔外科、2. 公立能登総合病院 歯科口腔外科)
【緒言・目的】
軟口蓋挙上装置は鼻咽腔閉鎖不全の改善を目的に装着され,構音障害の改善にも期待できる。上咽頭癌術後,放射線化学療法後に開鼻声,鼻咽腔逆流が生じた患者に対して軟口蓋挙上装置を使用したことにより,構音障害や嚥下障害の機能の回復を認め,経口摂取の再開が可能となった1例を経験したので報告する。
【症例および経過】
67歳,女性。自家感作性皮膚炎の既往があった。2015年7月に当院耳鼻咽喉科・頭頚部外科で上咽頭癌と診断され,同年8月から11月にかけて放射線化学療法(70Gy+シスプラチン、5-FU)を施行した。2018年に原発巣再発を認めたため全身麻酔下に内視鏡下腫瘍切除術を施行したところ,術後より開鼻声が出現した。構音障害の改善がみられなかったことから,2022年7月に軟口蓋挙上装置の作製依頼で当科紹介となった。8月に誤嚥性肺炎を認め,嚥下造影検査ではゼリーの咽頭残留が多く,鼻咽腔逆流も認め,複数回嚥下でもクリアにならなかった。水で追加嚥下を行うと顕性誤嚥を認めた。鼻咽腔閉鎖不全および咽頭収縮不良による咽頭期障害が誤嚥性肺炎の原因であると考えた。言語聴覚士により間接訓練が開始となった。8月29日に軟口蓋挙上装置を装着したところ、開鼻声の改善を認めた。9月に言語聴覚士により直接訓練が開始となった。その後の嚥下造影検査では軟口蓋挙上装置を装着し,右頚部回旋、顎引き嚥下を行うことにより鼻咽腔逆流や誤嚥を認めず,経口摂取再開となった。10月には1%とろみ水750ml/日を飲水,軟飯、極軟菜を摂取可能となり、自宅退院となった。2023年3月に原発巣再発に伴い上咽頭部より出血を認め,装置装着困難となり,2023年6月に逝去となった。
なお、本報告の発表について患者本人から文書による同意を得ている。
【考察】
上咽頭癌術後,放射線化学療法後に構音障害,嚥下障害が生じ,誤嚥性肺炎を発症した患者に対し軟口蓋挙上装置を作製することで機能の回復がみられた。鼻咽腔閉鎖不全の患者に対して軟口蓋挙上装置を作製し装着することは患者の生活の質(Quahty of life : QOL)の向上に有効であると示唆された。
(COI 開示:なし)
(倫理審査対象外)
軟口蓋挙上装置は鼻咽腔閉鎖不全の改善を目的に装着され,構音障害の改善にも期待できる。上咽頭癌術後,放射線化学療法後に開鼻声,鼻咽腔逆流が生じた患者に対して軟口蓋挙上装置を使用したことにより,構音障害や嚥下障害の機能の回復を認め,経口摂取の再開が可能となった1例を経験したので報告する。
【症例および経過】
67歳,女性。自家感作性皮膚炎の既往があった。2015年7月に当院耳鼻咽喉科・頭頚部外科で上咽頭癌と診断され,同年8月から11月にかけて放射線化学療法(70Gy+シスプラチン、5-FU)を施行した。2018年に原発巣再発を認めたため全身麻酔下に内視鏡下腫瘍切除術を施行したところ,術後より開鼻声が出現した。構音障害の改善がみられなかったことから,2022年7月に軟口蓋挙上装置の作製依頼で当科紹介となった。8月に誤嚥性肺炎を認め,嚥下造影検査ではゼリーの咽頭残留が多く,鼻咽腔逆流も認め,複数回嚥下でもクリアにならなかった。水で追加嚥下を行うと顕性誤嚥を認めた。鼻咽腔閉鎖不全および咽頭収縮不良による咽頭期障害が誤嚥性肺炎の原因であると考えた。言語聴覚士により間接訓練が開始となった。8月29日に軟口蓋挙上装置を装着したところ、開鼻声の改善を認めた。9月に言語聴覚士により直接訓練が開始となった。その後の嚥下造影検査では軟口蓋挙上装置を装着し,右頚部回旋、顎引き嚥下を行うことにより鼻咽腔逆流や誤嚥を認めず,経口摂取再開となった。10月には1%とろみ水750ml/日を飲水,軟飯、極軟菜を摂取可能となり、自宅退院となった。2023年3月に原発巣再発に伴い上咽頭部より出血を認め,装置装着困難となり,2023年6月に逝去となった。
なお、本報告の発表について患者本人から文書による同意を得ている。
【考察】
上咽頭癌術後,放射線化学療法後に構音障害,嚥下障害が生じ,誤嚥性肺炎を発症した患者に対し軟口蓋挙上装置を作製することで機能の回復がみられた。鼻咽腔閉鎖不全の患者に対して軟口蓋挙上装置を作製し装着することは患者の生活の質(Quahty of life : QOL)の向上に有効であると示唆された。
(COI 開示:なし)
(倫理審査対象外)
