講演情報
[認定P-38]アルツハイマー型認知症患者に対しバーアタッチメントを用いた義歯を製作し咀嚼状態を改善し身体機能を維持した症例
○壁谷 玲1、大神 浩一郎2 (1. ひがし林間歯科、2. 東京歯科大学千葉歯科医療センター)
【緒言・目的】
高齢社会において,認知症高齢者に対する歯科訪問診療の重要性が高まっている。本報告では,外来診療から歯科訪問診療へ移行したアルツハイマー型認知症を有する高齢者に対し,バーアタッチメントを用いた義歯の製作することで咀嚼機能を改善し,身体機能の維持に寄与した1 例を経験したので報告する。
【症例および経過】
76 歳の女性。令和1年よりアルツハイマー型認知症の既往あり。令和4年7月より有料老人ホームへの入居を機にかかりつけ歯科医院への通院が困難となったため,当院にて歯科訪問診療による定期的口腔管理を開始した。令和6年6月に食事の摂取不良を主訴としての訪問診療の依頼があった。上顎バーアタッチメントの破損による義歯不適合を認め,義歯は使用不可能な状態であった。咀嚼機能ではグルコセンサー値32mg/dLの顕著な低下を認め,食形態は常食からミキサー食への変更を要していた。まず,バーアタッチメントを除去し既存義歯の使用を試みたが,無口蓋義歯では容易に脱落したため,義歯の再製作を行うこととした。認知症により義歯を忌避する傾向が既往として認められたことから,十分な維持力の確保可能な術者可撤式のバーアタッチメントを用いたインプラント義歯を選択した。義歯床形態は義歯のたわみによる破折を防止するために剛性を高めるとともに,将来的にアタッチメント除去後に一定の維持が得られるよう,無口蓋義歯ではなく口蓋を被覆する形態を選択した。34から37および44から47欠如部に装着されていた下顎義歯は,33と43のアイバーの不適合により維持力が不足していた。アイバーの調整は困難なため再製作を行うこととした。新義歯装着後1ヶ月で義歯の状態は安定し,グルコセンサー値146mg/dLへと改善した。食形態は常食へ移行し,食事摂取量も安定した。現在まで良好な経過を示している。なお,本報告の発表について患者家族から文書による同意を得ている。 【考察】本症例では,認知症を有する高齢者に対し,歯科訪問診療下で義歯の維持不足に対する補綴的介入を行った。バーアタッチメントを用いた補綴設計により義歯の安定性が向上し,咀嚼機能の改善が得られことで食形態の常食へ移行および食事摂取量の安定化が可能となった。このことは身体機能の維持に寄与したものと考える。
(COI開示:なし)
(倫理審査対象外)
高齢社会において,認知症高齢者に対する歯科訪問診療の重要性が高まっている。本報告では,外来診療から歯科訪問診療へ移行したアルツハイマー型認知症を有する高齢者に対し,バーアタッチメントを用いた義歯の製作することで咀嚼機能を改善し,身体機能の維持に寄与した1 例を経験したので報告する。
【症例および経過】
76 歳の女性。令和1年よりアルツハイマー型認知症の既往あり。令和4年7月より有料老人ホームへの入居を機にかかりつけ歯科医院への通院が困難となったため,当院にて歯科訪問診療による定期的口腔管理を開始した。令和6年6月に食事の摂取不良を主訴としての訪問診療の依頼があった。上顎バーアタッチメントの破損による義歯不適合を認め,義歯は使用不可能な状態であった。咀嚼機能ではグルコセンサー値32mg/dLの顕著な低下を認め,食形態は常食からミキサー食への変更を要していた。まず,バーアタッチメントを除去し既存義歯の使用を試みたが,無口蓋義歯では容易に脱落したため,義歯の再製作を行うこととした。認知症により義歯を忌避する傾向が既往として認められたことから,十分な維持力の確保可能な術者可撤式のバーアタッチメントを用いたインプラント義歯を選択した。義歯床形態は義歯のたわみによる破折を防止するために剛性を高めるとともに,将来的にアタッチメント除去後に一定の維持が得られるよう,無口蓋義歯ではなく口蓋を被覆する形態を選択した。34から37および44から47欠如部に装着されていた下顎義歯は,33と43のアイバーの不適合により維持力が不足していた。アイバーの調整は困難なため再製作を行うこととした。新義歯装着後1ヶ月で義歯の状態は安定し,グルコセンサー値146mg/dLへと改善した。食形態は常食へ移行し,食事摂取量も安定した。現在まで良好な経過を示している。なお,本報告の発表について患者家族から文書による同意を得ている。 【考察】本症例では,認知症を有する高齢者に対し,歯科訪問診療下で義歯の維持不足に対する補綴的介入を行った。バーアタッチメントを用いた補綴設計により義歯の安定性が向上し,咀嚼機能の改善が得られことで食形態の常食へ移行および食事摂取量の安定化が可能となった。このことは身体機能の維持に寄与したものと考える。
(COI開示:なし)
(倫理審査対象外)
