講演情報
[認定P-41]可撤性床義歯に馴染めず口腔衛生状態不良であった大動脈弁狭窄症患者に対し周術期口腔管理を契機に口腔内環境の改善を試みた一例
○前田 あずさ1、縄稚 久美子2 (1. 岡山大学学術研究院医歯薬学域 インプラント再生補綴学分野、2. 岡山大学病院 歯科・口腔インプラント科部門)
【緒言・目的】
心臓弁膜症などの心疾患患者では,口腔内細菌が感染性心内膜炎(IE)の原因となりうるため,観血処置を伴う歯科治療に際しては十分な配慮が必要である。また,将来的なIE発症リスク軽減のため,全身状態が安定している時期に口腔内環境を改善することも重要である。今回,長期間不衛生な状態だった心臓弁膜症患者の口腔内環境の改善に成功した症例を経験したので報告する。
【症例および経過】
78歳男性。大動脈弁狭窄症に対する弁置換術前の周術期口腔管理のため2025年7月に医科主治医より歯科紹介となった。初診時は上下顎共に両側遊離端欠損だったが上顎は遊離端義歯が21-24暫間被覆冠と連結固定されており,下顎は義歯を使用していなかった。衛生状態はPCR100%と著しく不良であった。周術期口腔管理として上顎の固定義歯を除去,根尖性歯周炎と判断された23の感染根管治療を実施し,口腔内の感染源を減じるため残存歯の歯周治療を行った。根管治療や歯周治療など出血が予想される処置の際には,IE予防のためアモキシシリン2000mg前投与を行い実施した。上顎に固定されていた義歯の除去後,一時的に血清アルブミン値が3.0g/dLまで低下したが,食形態の工夫等で4.2g/dLに改善しその後も状態は落ち着いている。弁置換術は無事実施され,術後の9月に義歯新製を開始した。旧義歯は装着時の違和感が強く使用できず残存歯に固定していたという話であったが,まず上顎前歯部の暫間被覆冠を新製し前歯の咬合を安定させた後,上下顎部分床義歯を作製した。数回の調整を経て大きな問題なく義歯を装着できるようになった。現在はセルフケアも改善し(PCR30%),良好な歯周状態を保っている。なお,本報告の発表について患者本人から文書による同意を得ている。
【考察】
本症例は,義歯になかなか馴染めず口腔内の状態が悪化していた患者に周術期口腔管理として口腔内の感染源除去ならびに新義歯作製を行い,口腔衛生状態ならびに咀嚼障害,審美障害を改善することができた。これを契機に患者の口腔内に対する意識も高まり,セルフケアの能力も向上している。術前に根管治療を行った23は義歯新製後に根尖病巣が再燃したため,術後体調が安定している時期に抜歯し,将来的なIE発症リスクを軽減させる結果となった。
(COI開示:なし)(倫理審査対象外)
心臓弁膜症などの心疾患患者では,口腔内細菌が感染性心内膜炎(IE)の原因となりうるため,観血処置を伴う歯科治療に際しては十分な配慮が必要である。また,将来的なIE発症リスク軽減のため,全身状態が安定している時期に口腔内環境を改善することも重要である。今回,長期間不衛生な状態だった心臓弁膜症患者の口腔内環境の改善に成功した症例を経験したので報告する。
【症例および経過】
78歳男性。大動脈弁狭窄症に対する弁置換術前の周術期口腔管理のため2025年7月に医科主治医より歯科紹介となった。初診時は上下顎共に両側遊離端欠損だったが上顎は遊離端義歯が21-24暫間被覆冠と連結固定されており,下顎は義歯を使用していなかった。衛生状態はPCR100%と著しく不良であった。周術期口腔管理として上顎の固定義歯を除去,根尖性歯周炎と判断された23の感染根管治療を実施し,口腔内の感染源を減じるため残存歯の歯周治療を行った。根管治療や歯周治療など出血が予想される処置の際には,IE予防のためアモキシシリン2000mg前投与を行い実施した。上顎に固定されていた義歯の除去後,一時的に血清アルブミン値が3.0g/dLまで低下したが,食形態の工夫等で4.2g/dLに改善しその後も状態は落ち着いている。弁置換術は無事実施され,術後の9月に義歯新製を開始した。旧義歯は装着時の違和感が強く使用できず残存歯に固定していたという話であったが,まず上顎前歯部の暫間被覆冠を新製し前歯の咬合を安定させた後,上下顎部分床義歯を作製した。数回の調整を経て大きな問題なく義歯を装着できるようになった。現在はセルフケアも改善し(PCR30%),良好な歯周状態を保っている。なお,本報告の発表について患者本人から文書による同意を得ている。
【考察】
本症例は,義歯になかなか馴染めず口腔内の状態が悪化していた患者に周術期口腔管理として口腔内の感染源除去ならびに新義歯作製を行い,口腔衛生状態ならびに咀嚼障害,審美障害を改善することができた。これを契機に患者の口腔内に対する意識も高まり,セルフケアの能力も向上している。術前に根管治療を行った23は義歯新製後に根尖病巣が再燃したため,術後体調が安定している時期に抜歯し,将来的なIE発症リスクを軽減させる結果となった。
(COI開示:なし)(倫理審査対象外)
