講演情報

[摂食審査P-01]心原性脳塞栓症後嚥下障害患者の先行期・口腔期障害に対し,多職種連携による摂食機能療法で3食経口摂取へ移行した一例

○道津 友里子1 (1. 福岡大学病院摂食嚥下センター)
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【緒言・目的】
 心原性脳塞栓症発症後の摂食嚥下障害により誤嚥性肺炎を繰り返し,経鼻経管栄養管理となっていた症例に対し,最終的に3食経口摂取による栄養管理確立をゴールとして多職種連携の下で摂食機能療法計画を実施し3食経口摂取へ移行し得た一例を報告する。
【症例および経過】
 70歳,男性。20X年5月11日,右中大脳動脈領域の心原性脳塞栓症と診断された。重度左上下肢麻痺,高次脳機能障害および嚥下障害を認め,顔面神経麻痺および舌下神経麻痺による口唇および舌運動制限があり挺舌時は左側への偏位がみられており,経口摂取開始の可否評価目的に7月12日当科嚥下外来受診。初診時軽度認知機能低下(HDS-R17点),低栄養状態(BMI17.6kg/m2,Alb3.0g/dL)を認め、残存歯は1本,舌圧7.3kPa,口腔清掃は病棟看護師介助下で行われ衛生状態は概ね良好であった。初回VF検査では口腔内溜め込みおよび口腔内保持不良,軽度の嚥下反射惹起遅延を認めたが,咽頭残留はほとんどみられず明らかな誤嚥および喉頭侵入所見は認めなかった。病態評価に基づき干渉波電気刺激法を併用した間接訓練と段階的な食事評価(直接訓練)による口腔期障害および高次脳機能障害に対するアプローチを中心とした摂食機能療法計画を立案し開始。経過中に誤嚥性肺炎を複数回発症したが,VF再評価にて嚥下機能に著明な変化は認めず,安全条件下で訓練継続。摂取量低下に対しては経鼻経管栄養併用した栄養管理を行いながら嚥下調整食の形状および見た目を患者嗜好に配慮し,多職種で検討を行った。10月6日3食経口摂取移行後肺炎の再発なく経過し施設へ退院。なお,本報告の発表については故人のためご遺族より文書による同意を得ている。
【考察】
 本症例では繰り返す誤嚥性肺炎と経口摂取量確保困難であった要因として,口腔運動機能低下に加え,先行期障害および低栄養による全身状態の影響が複合的に関与していた可能性が考えられた。咽頭期障害は軽度であった一方,口腔期障害および高次脳機能障害の影響が強い症例であり,これらに対する嚥下障害の病態評価に基づいた歯科医師による摂食機能療法計画の立案と多職種連携による継続的介入が経口摂取再獲得に重要である可能性が示唆された。

(COI 開示:なし)
(倫理審査対象外)