講演情報
[摂食審査P-04]摂食機能療法介入中にパーキンソン病の診断がされた舌癌術後患者の一症例
○加藤 陽子1,2 (1. 日本歯科大学口腔リハビリテーション多摩クリニック、2. 日本歯科大学附属病院口腔リハビリテーション科)
【緒言・目的】
舌癌術後の摂食機能療法介入中にパーキンソン病が診断され,治療計画を再構築した症例を報告する。
【症例及び経過】
83歳女性。水分摂取時のむせ,咀嚼・会話困難を主訴に来院した。発話明瞭度4,要介護2,MMSE 30点,Barthel Index 95点,BMI 22.2kg/㎡,手指振戦に対し未診断で抗パーキンソン病薬が処方されていた。2年前に左舌癌(T1N0M0)に対し舌半側切除,頸部郭清,遊離皮弁再建され,術後より症状自覚も受診せず,歯冠破折を機に受診に至った。粥・刻み食(コード3~4),水分を約120分で摂取し,口腔内はう蝕,動揺歯,不適合補綴装置を認め,口腔機能はTCI以外で低下を認め咀嚼困難であった。水分はVEにて術後の舌運動障害に伴う口腔内保持困難・頸部郭清術後の咽頭感覚低下に伴う嚥下反射惹起遅延,VFにて不顕性誤嚥を認めた。コード3はVFにて舌可動域制限に伴う準備期障害を認め,機能と食形態の乖離による窒息リスクがあった。摂食・嚥下Gr.7,嚥下障害重症度分類3と評価し「安全で効率的な経口摂取,構音障害改善」を目標に,治療計画は食形態の調整(中間のとろみ,コード3),栄養介入,口腔環境整備(抜歯,PAP製作),言語訓練とした。初診7カ月後にPAP装着し,発話明瞭度,咬合圧,食事時間が改善したが,患者の病識・選好は医学的推奨と乖離し,コード4以上の押し込み食べによる窒息未遂を繰り返した。検査画像を用い注意喚起を反復し窒息未遂は減少したが,約1年後,歩行困難,嚥下困難,発話明瞭度低下,VFで口腔咽頭移送時間延長および軟口蓋挙上不全を認めた。原疾患と乖離し神経変性疾患に類似する症状から,医科へ精査依頼した結果,パーキンソン病と診断された。薬物療法開始後,歩行・構音・嚥下機能の改善を認めた。再評価にて,水分摂取時のむせや構音機能は改善したが,食形態の遵守は困難で,目標の達成は部分的であった。パーキンソン病における栄養状態と予後を考慮し,治療目標を「窒息予防再優先,栄養状態の維持・向上」へ再設定した。
【考察】
症状が原疾患と乖離する場合は,他疾患を考慮し全身症状を含めた経時的変化の再評価が重要と考える。今後は病状進行を見据え,多職種連携による管理を継続し,通院困難時には地域医療へ移行できる体制を構築していく。
(COI 開示:なし)(倫理審査対象外)
舌癌術後の摂食機能療法介入中にパーキンソン病が診断され,治療計画を再構築した症例を報告する。
【症例及び経過】
83歳女性。水分摂取時のむせ,咀嚼・会話困難を主訴に来院した。発話明瞭度4,要介護2,MMSE 30点,Barthel Index 95点,BMI 22.2kg/㎡,手指振戦に対し未診断で抗パーキンソン病薬が処方されていた。2年前に左舌癌(T1N0M0)に対し舌半側切除,頸部郭清,遊離皮弁再建され,術後より症状自覚も受診せず,歯冠破折を機に受診に至った。粥・刻み食(コード3~4),水分を約120分で摂取し,口腔内はう蝕,動揺歯,不適合補綴装置を認め,口腔機能はTCI以外で低下を認め咀嚼困難であった。水分はVEにて術後の舌運動障害に伴う口腔内保持困難・頸部郭清術後の咽頭感覚低下に伴う嚥下反射惹起遅延,VFにて不顕性誤嚥を認めた。コード3はVFにて舌可動域制限に伴う準備期障害を認め,機能と食形態の乖離による窒息リスクがあった。摂食・嚥下Gr.7,嚥下障害重症度分類3と評価し「安全で効率的な経口摂取,構音障害改善」を目標に,治療計画は食形態の調整(中間のとろみ,コード3),栄養介入,口腔環境整備(抜歯,PAP製作),言語訓練とした。初診7カ月後にPAP装着し,発話明瞭度,咬合圧,食事時間が改善したが,患者の病識・選好は医学的推奨と乖離し,コード4以上の押し込み食べによる窒息未遂を繰り返した。検査画像を用い注意喚起を反復し窒息未遂は減少したが,約1年後,歩行困難,嚥下困難,発話明瞭度低下,VFで口腔咽頭移送時間延長および軟口蓋挙上不全を認めた。原疾患と乖離し神経変性疾患に類似する症状から,医科へ精査依頼した結果,パーキンソン病と診断された。薬物療法開始後,歩行・構音・嚥下機能の改善を認めた。再評価にて,水分摂取時のむせや構音機能は改善したが,食形態の遵守は困難で,目標の達成は部分的であった。パーキンソン病における栄養状態と予後を考慮し,治療目標を「窒息予防再優先,栄養状態の維持・向上」へ再設定した。
【考察】
症状が原疾患と乖離する場合は,他疾患を考慮し全身症状を含めた経時的変化の再評価が重要と考える。今後は病状進行を見据え,多職種連携による管理を継続し,通院困難時には地域医療へ移行できる体制を構築していく。
(COI 開示:なし)(倫理審査対象外)
