講演情報
[摂食審査P-05]誤嚥性肺炎を繰り返す頭頸部領域の重複癌術後患者に対し,電気刺激療法を含む訓練を施行した1例
○中島 純子1 (1. 東京歯科大学オーラルメディシン・病院歯科学講座)
【緒言・目的】
頭頸部癌治療後は,嚥下障害が後遺することがある。近年,頸部の筋力や感覚の低下に対し,神経筋電気刺激療法(NMES)や干渉波電気刺激療法(IFC)の併用が注目されている。今回,頭頸部領域の重複癌の術後に誤嚥性肺炎で入退院を繰り返した症例に対して,NMES,IFCおよび間接訓練により,嚥下機能の改善を認めた症例を経験したので報告する。
【症例および経過】
80歳,男性。既往歴:咽頭癌(外科的切除,放射線化学療法:7年前),下顎歯肉癌(左側辺縁切除),食道癌(内視鏡切除),肺癌(外科的切除)。 初診の約2年前から誤嚥性肺炎で入退院を繰り返し,5回目の入院中であった。アイヒナー分類:A3,BMI:20.2 kg/m2。嚥下造影検査によりPAS:5,喉頭,舌骨挙上および咽頭収縮の低下,咽頭残留を認め,咽頭がん治療後の晩期咽頭期の嚥下障害と診断した。咽頭収縮,舌骨上筋群収縮の改善,咽頭残留の軽減および咽頭感覚の改善を目的に,前舌保持嚥下,メンデルソン手技,嚥下おでこ体操,頭部挙上訓練,開口訓練を施行し,左頸部回旋,顎引き嚥下を指示し嚥下調整食4で退院となった。退院後は前述の間接訓練と感覚神経刺激を目的にIFC,筋力強化を目的にNMESを計画した。IFCを4週間(5日/週)施行,4週のインターバル後にNMESを4週間施行し,適宜VF,咳テスト評価した。IFC開始4週後,終了4週後は咳反射の改善がみられ,NMES施行後に舌骨挙上量が軽度増加した。電気刺激療法後は定期的に嚥下機能評価と指導を継続している。本発表の同意は患者本人から得ている。
【考察】
咽頭の収縮や感覚低下に対するリハビリ方法は少なく,十分に改善されないことを経験する。IFCは干渉波を利用し感覚神経を刺激することで嚥下反射を誘発させ,NMESは前頸部への低周波電流で運動神経を刺激し筋収縮の強化を目的としているが,電気刺激療法の施行回数や頻度,期間の明確な基準は確立されてない。本症例は電気刺激療法終了後も一定期間は効果が持続し,入院頻度は減少したが,その後も誤嚥性肺炎を発症していることから,効果は経時的に減少すると推測される。本患者では適切な物性の食事摂取の徹底や生活指導など,多面的なアプローチが必要と思われる。(COI 開示:なし)(東京歯科大学市川総合病院倫理審査委員会承認番号I21034RⅡ)
頭頸部癌治療後は,嚥下障害が後遺することがある。近年,頸部の筋力や感覚の低下に対し,神経筋電気刺激療法(NMES)や干渉波電気刺激療法(IFC)の併用が注目されている。今回,頭頸部領域の重複癌の術後に誤嚥性肺炎で入退院を繰り返した症例に対して,NMES,IFCおよび間接訓練により,嚥下機能の改善を認めた症例を経験したので報告する。
【症例および経過】
80歳,男性。既往歴:咽頭癌(外科的切除,放射線化学療法:7年前),下顎歯肉癌(左側辺縁切除),食道癌(内視鏡切除),肺癌(外科的切除)。 初診の約2年前から誤嚥性肺炎で入退院を繰り返し,5回目の入院中であった。アイヒナー分類:A3,BMI:20.2 kg/m2。嚥下造影検査によりPAS:5,喉頭,舌骨挙上および咽頭収縮の低下,咽頭残留を認め,咽頭がん治療後の晩期咽頭期の嚥下障害と診断した。咽頭収縮,舌骨上筋群収縮の改善,咽頭残留の軽減および咽頭感覚の改善を目的に,前舌保持嚥下,メンデルソン手技,嚥下おでこ体操,頭部挙上訓練,開口訓練を施行し,左頸部回旋,顎引き嚥下を指示し嚥下調整食4で退院となった。退院後は前述の間接訓練と感覚神経刺激を目的にIFC,筋力強化を目的にNMESを計画した。IFCを4週間(5日/週)施行,4週のインターバル後にNMESを4週間施行し,適宜VF,咳テスト評価した。IFC開始4週後,終了4週後は咳反射の改善がみられ,NMES施行後に舌骨挙上量が軽度増加した。電気刺激療法後は定期的に嚥下機能評価と指導を継続している。本発表の同意は患者本人から得ている。
【考察】
咽頭の収縮や感覚低下に対するリハビリ方法は少なく,十分に改善されないことを経験する。IFCは干渉波を利用し感覚神経を刺激することで嚥下反射を誘発させ,NMESは前頸部への低周波電流で運動神経を刺激し筋収縮の強化を目的としているが,電気刺激療法の施行回数や頻度,期間の明確な基準は確立されてない。本症例は電気刺激療法終了後も一定期間は効果が持続し,入院頻度は減少したが,その後も誤嚥性肺炎を発症していることから,効果は経時的に減少すると推測される。本患者では適切な物性の食事摂取の徹底や生活指導など,多面的なアプローチが必要と思われる。(COI 開示:なし)(東京歯科大学市川総合病院倫理審査委員会承認番号I21034RⅡ)
