講演情報

[摂食更新P-02]訪問歯科診療における摂食機能療法専門歯科医師の活動の概要と課題

○藤岡 早苗1,2 (1. 医療法人社団立靖会 ラビット歯科、2. 九州歯科大学附属病院 口腔リハビリテーションセンター)
PDFダウンロードPDFダウンロード
【目的】
 高齢者の摂食嚥下障害への対応には身体的・心理的・社会的背景への配慮が必要であり,多職種での対応が望ましい。その原因は多岐にわたるため,知識と経験に基づく適切な評価のみならず状況変化への柔軟な対応が求められる。摂食嚥下機能において口腔は重要な器官の一つであり,歯科医師が専門性を高めることは多職種連携において有意義である。本学会の摂食機能療法専門歯科医師には専門的知識と技術に加えて啓蒙活動における中心的役割が求められている。本発表では,演者が摂食機能療法専門歯科医師として,訪問歯科診療において5年間に実施した摂食機能療法症例の概要と課題を報告する。
【方法】
 2021年4月~2025年9月において,初回嚥下機能評価を実施した摂食機能療法症例を対象とした。評価の依頼元別に集計し,その傾向と課題を検討した。また,内視鏡下嚥下機能検査(VE)および嚥下造影検査(VF)の実施状況,ならびに介入内容について解析を行った。
【結果と考察】
 対象は110名(男性47名,女性63名,平均年齢83.6歳)であった。依頼元は家族39.0%,ケアマネージャー(CM)21.8%,看護師・言語聴覚士11.8%,歯科10.9%,医科5.5%であった。初診時主訴はむせ29.0%,現状確認22.7%,経口摂取再開の可否16.4%であった。初回評価のみは33.7%,継続介入は66.3%であった。嚥下機能評価としてVEの実施は88件,VFは実施していなかった。介入内容は,食形態調整,嚥下訓練指導,食事姿勢および食具の指導,口腔ケア方法の指導,多職種および家族への助言であった。家族やCMからの依頼が多かったことは,生活の場での変化に気づき受診につながった可能性を示していた。また,むせが主訴として最多であったことから,非専門職でも認識しやすい症状が受診の契機となることが推測された。継続介入の割合が高かったことから,介入の必要性が介護者に理解されていると考えられた。歯科が介入しているにもかかわらず他の職種から依頼された症例が存在していたことより,摂食機能療法専門歯科医師の認知不足が課題として挙げられた。今後は,摂食機能療法専門歯科医師が自らの経験を地域へ還元するとともに,家族・介護者や他の職種のみならず,歯科医師・歯科衛生士へも啓蒙活動を強化する必要性が示唆された。
(COI開示:なし)(倫理審査対象外)