講演情報

[摂食更新P-03]介護施設入所者における認知機能の低下が咀嚼中の下顎運動に及ぼす影響-横断研究および2年間の追跡研究-

○中山 渕利1 (1. 日本大学歯学部摂食機能療法学講座)
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【目的】
 咀嚼中の下顎運動が認知機能の低下に伴い、どのように変化するか未だ明らかではない。本研究では、SAKU-SAKUテストを応用し、認知機能の低下が咀嚼運動に及ぼす影響について、横断研究(研究1)と2年間の追跡研究(研究2)を行った結果を報告する。
【方法】
 研究1では、東京都と千葉県の2つの介護施設入所者のうち、固形食を摂取している63名(平均年齢88.1歳、男性15名、女性48名)を対象とした。研究2では、研究1の被験者のうち、2年後も調査可能であった42名を対象とした。調査項目は年齢、性別、要介護度、体格指数(BMI)、MNA-SF、骨格筋量指数(ASMI)、Eichner分類、ABC認知症スケール(ABC-DS)とした。さらに、煎餅を咀嚼した際の咀嚼開始から一回目の嚥下までの時間、咀嚼回数、咀嚼頻度、咀嚼サイクルパターンを直線運動と回転運動に分けたときの各回数と回転運動頻度を解析した。研究1では、ABC-DSの結果から被験者を正常または軽度認知機能低下群(軽度群)、中等度の認知機能低下群(中等度群)、重度の認知機能低下群(重度群)の3群に分け、咀嚼運動の解析結果を群間比較した。研究2では、調査項目の変化量と咀嚼運動解析項目の変化率の相関をSpearmanの順位相関係数で分析し、有意差のあった調査項目を説明変数、解析項目の増加の有無を従属変数としてロジスティック回帰分析を行った。
【結果と考察】
 研究1では重度群は軽度群に比べて回転運動数、回転運動頻度が有意に少なく、直線運動数が有意に多いことが示された。また、研究2ではABC-DSは直線運動回数および回転運動頻度と有意な関連性を認め、ロジスティック回帰分析の結果、直線運動数の増加と回転運動頻度の増加はABC-DSの変化量に独立的に関係しており、認知機能の低下により直線運動数が増加し、回転運動頻度が減少することが示唆された。
(COI開示:なし)
(日本大学歯学部 倫理審査委員会承認番号 EP19D015-1)