講演情報

[摂食更新P-05]地域医療および障害者歯科医療における摂食機能療法専門歯科医師としての活動

○加藤 喜久1 (1. 医療法人社団秀和会 小倉北歯科医院)
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【目的・方法】
 摂食機能療法専門歯科医師の資格更新にあたり,演者がこれまで行ってきた臨床活動および地域における活動について報告する.演者は開業歯科診療所勤務医として訪問歯科診療を主体に,精神科病院および障害者歯科専門機関において,小児から高齢者まで幅広い摂食嚥下障害患者に関わってきた.本報告では,多様な臨床現場における役割と,多職種および地域への教育活動の実際について概説する.
【活動内容】
 現在,開業歯科診療所に勤務し,週4日,訪問歯科診療を中心に活動している.対象は,介護保険施設入所者,在宅療養中の要介護高齢者,精神科病棟入院患者,地域で生活する精神疾患患者および発達障害者であり,歯科衛生士とともに週60~70名の診療にあたっている.その中で,摂食嚥下機能評価,食形態調整,直接訓練・間接訓練,口腔衛生管理を実施している.特に精神科領域では,向精神薬の副作用による嚥下機能低下や,認知機能・精神症状の変化に伴う摂食行動障害への対応を重視している.また,他県口腔保健医療センターに毎月3日間従事し,発達障害を有する小児から成人に対する歯科診療に加え,月12名程度の患児への摂食指導を地域協力医とともに行っている.
【結果および考察】
 訪問診療の現場,特に精神科病棟や在宅療養,介護施設等では,摂食嚥下障害への対応において歯科医師の専門性が求められる一方,介入の契機は歯痛,義歯不適合,口腔衛生不良など歯科疾患への対応であることが多い.さらに,病棟や施設では看護職・介護職の人手不足を背景に,摂食・嚥下機能まで手厚くフォローできる体制を有する施設は限られている.そのため,歯科医師には,現場に過度な負担をかけない現実的な範囲で実施可能な助言や支援を提示し,摂食嚥下機能への関心を少しずつ高めてもらうようなアプローチが求められる.実際,継続的な関与を通じて,義歯の必要性や食事形態について相談を受ける機会も徐々に増加している.一方,センターでの発達障害児への指導は,一般診療所だけでなく,母親の会などからの紹介が主である.障害者歯科診療を通じて,発達期から老年期に至る障害者の生涯を通じた摂食機能支援に関与できたことは,自身の臨床的視座の拡大にも寄与した.今後も臨床と教育の両輪から,地域医療における摂食機能療法の普及と発展に寄与したい.(COI開示:なし)
(倫理審査対象外)