講演情報

[摂食更新P-17]歯科訪問診療における摂食嚥下リハビリテーションの意思決定に関する研究活動の報告

○山口 浩平1 (1. 東京科学大学大学院 摂食嚥下リハビリテーション学分野)
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【目的】 
日本では国民皆保険制度のもと、歯科訪問診療を基盤とした生活期の摂食嚥下リハビリテーションが発展してきた。経管栄養から経口摂取への移行など、その有効性は示されている一方で、訓練、環境調整、歯科治療を含む介入方法の意思決定に関する報告は限られている。本発表では、生活期の摂食嚥下リハビリテーション立案における介入選択の意思決定について、エビデンス創出と普及を目的とした一連の取り組みを報告する。
【方法】 
対象者は、2018年4月から2023年3月までに当科および2歯科クリニックで摂食嚥下リハビリテーションを提供した要介護患者である。診療記録を用いた後ろ向きコホート研究を実施した。記録項目は年齢・性別などの基本属性と介入内容で、介入は「訓練」「環境調整」「歯科治療」の3区分に分類した。訓練は直接訓練・間接訓練、環境調整は食形態調整、水分のとろみ付け、栄養指導など、歯科治療には舌接触補助床製作を含む。患者属性に基づき、K-meansクラスタリングを用いて3クラスターに分類し、クラスター間の介入パターンの特徴を探索的に検討した。さらに、得られた知見を整理し、歯科訪問診療における摂食嚥下リハビリテーションの方法論を体系化した書籍を刊行した。
【結果と考察】 
解析対象は242名で、平均年齢は83.3±7.9歳、男性は109名であった。訓練が選択された患者は56.7%、環境調整が選択された患者は90.1%であった。比較的年齢が若く、代替栄養を要する在宅患者では訓練が有意に選択されやすく、訓練対象群は介入期間が長かった(P<0.001)。また、同群では喉頭侵入および誤嚥の頻度も有意に高かった(P<0.001)。生活期は回復期と異なり、摂食嚥下リハビリテーションにおいて必ずしも訓練が選択されるわけではなく、環境調整が中心となる傾向が認められた。環境調整には食形態調整や水分のとろみ付け、栄養指導など多様な内容が含まれるが、これらの方法論を日本語の書籍として体系化・刊行し、一定の普及を得たことは、生活期における摂食嚥下リハビリテーションの理解促進と今後の発展に寄与する意義ある取り組みであると考えられる。
(C O I開示:なし)
(東京科学大学歯学部倫理審査委員会承認番号 D2023-004)