講演情報

[摂食更新P-32]浜松地域における多職種を対象とした摂食嚥下に関する教育・啓発活動

○野本 亜希子1 (1. 浜松市リハビリテーション病院 歯科)
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【目的】
 安全な摂食嚥下リハビリテーション(以下,リハビリ)には,地域全体で多職種が共通認識を持ち,包括的に介入することが不可欠である。当院では地域全体の摂食嚥下リハビリの底上げを目指した教育・啓発活動を継続しており,地域連携の基盤となっている。本報告では,これまでの歩みを踏まえ,筆者が2020年12月から2025年12月までに取り組んだ院内外への多職種に対する教育活動とその成果を報告する。
【方法】
 筆者が主導的役割を担った以下の3つの教育プログラムを報告の対象とした。
浜松摂食嚥下懇話会:地域の多職種を対象に隔月でハイブリッド研修会。筆者は「口腔に関連する摂食嚥下障害へのアプローチ(2023年3月)」,「口腔の機能低下と嚥下障害(2025年5月)」を担当し,口腔機能評価や口腔準備期・口腔期の嚥下障害に対する代償手技や訓練法,評価法など臨床に直結する内容を説いた。
えんげサポーター養成講座:実務者育成を目的とした1年間の認定プログラム。筆者は2021年から5年間,毎年9月に「嚥下障害への歯科的アプローチ」の講義と実習を担当し,VE・VFを通した評価の実例や,咽頭期への影響を考慮した口腔管理の重要性を提示した。
嚥下障害実習研修会:医師を対象とした専門医単位取得講座。2024年と2025年に「嚥下障害への歯科的対応」を講じ,咀嚼機能や送り込み能力に基づいた食形態の選択や医科歯科連携のタイミングについて実例を交えながら提示した。
【結果】
 各活動の参加者は,懇話会で延べ387名,サポーター養成講座では延べ300名超,医師向け研修会で65名であった。2025年度サポーター講座受講者25名を対象とした受講前後のアンケート調査では,「嚥下障害患者への対応に対する自己効力感(10点満点)」が受講前の3[1-4]点から受講後は9[8-9]点へ向上した。
【考察・結論】
 口腔は摂食嚥下の入り口であり,その機能維持は摂食嚥下リハビリの基本である。本活動を通じ,専門歯科医師として「口腔の器質的・機能的改善が嚥下機能の向上にどう直結するか」という視点を多職種に浸透させたことに意義がある。多職種に対し,摂食嚥下リハビリにおける口腔機能の評価やアプローチの重要性を提示し続けたことは,地域における誤嚥性肺炎予防や低栄養改善に寄与したと考えられる。
(COI開示:なし)(倫理審査対象外)