講演情報

[摂食更新P-37]摂食嚥下臨床に関わる歯・医・工連携研究の取り組みとその成果

○吉見 佳那子1 (1. 東京科学大学大学院医歯学総合研究科 摂食嚥下リハビリテーション学分野)
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【目的】
 摂食嚥下リハビリテーションでは,口腔のみならず全身機能を含めた包括的評価とアプローチが重要である。さらに, 摂食嚥下障害の発症要因の解明および有効な評価・訓練手法の確立は,摂食嚥下臨床の質向上のために不可欠である。これまでに本学医学部整形外科,総合診療科との医科歯科連携研究に加え,電気通信大学との医工連携研究を実施してきた。これらの研究活動について報告する。
【方法】
 整形外科との共同研究では,頚椎症に対して前方または後方アプローチによる手術を受けた患者を対象に嚥下機能評価を実施し,手術前後の嚥下動態の変化と術後摂食嚥下障害に関連する因子を検討した。総合診療科との共同研究では,体幹機能のうち特に横隔膜機能に着目し,生活期の軽度嚥下障害患者に対する呼吸筋トレーニングの介入効果を検証した。電気通信大学との共同研究では,蛍光色素を混和した食物を摂取させ,頸部体表から近赤外線光を照射して咽頭残留物の蛍光強度を計測し,誤嚥リスクを非侵襲的に評価可能な機器の開発を進めている。
【結果と考察】
 頚椎手術後の摂食嚥下障害に関連する因子は,C3より上位での手術,200分以上の手術時間,3椎間を超える広範囲手術であった。本研究は嚥下造影検査による客観的評価により術後嚥下障害を検討した初の報告である。4週間の呼吸筋トレーニング介入研究では,嚥下機能および横隔膜機能の有意な改善を認め,軽度摂食嚥下障害患者に対しては従来の嚥下訓練に加え体幹へのアプローチが有効である可能性が示唆された。また,蛍光測定技術により非侵襲的に食物の咽頭通過および梨状窩の咽頭残留を評価できることを確認し,現在は臨床応用に向けた機器改良を進めている。今後も歯・医・工連携を推進し,歯学領域を超えた摂食嚥下リハビリテーションの新たな知見と社会的価値の創出を目指したい。
(COI 開示:なし)
(東京科学大学歯学系倫理審査委員会D2019-004, D2020-008, 医学系倫理審査委員会M2022-293)