講演情報

[LS7]口腔や義歯にへばりついたクリームタイプ義歯安定剤がスッキリとれる新しいクリーナーのご紹介

○金澤 学1 (1. 東京科学大学 高齢者歯科学分野 教授)
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【略歴】
東京医科歯科大学歯学部卒業後,同大学大学院医歯学総合研究科にて博士(歯学)を取得.東京医科歯科大学歯学部附属病院医員,同大学大学院助教,講師,口腔デジタルプロセス学分野教授などを経て2024年より現職.
歯科補綴学を専門とし,特に無歯顎患者に対する補綴治療,インプラントオーバーデンチャー,デジタルデンティストリーに関する研究と臨床に取り組んでいる.
全部床義歯や可撤性義歯治療に関する臨床研究を基盤に,CAD/CAM義歯やデジタル技術を活用した補綴治療の発展に取り組み,AIを応用した義歯設計・診断支援など新しい歯科医療技術の研究にも携わっている.マギル大学客員教授(2013–2014),チューリッヒ大学客員教授(2023年~)として国際的な研究交流にも積極的に取り組んでいる.
令和6年度の歯科疾患実態調査において,我が国の8020達成者は61.5%と報告されており,自身の歯を多く有する高齢者の割合は年々増加している.その一方で,高齢者人口そのものは増加しており,結果として可撤性義歯を使用する高齢者は依然として多く存在している.さらに,高度顎堤吸収やオーラルディスキネジアなどによる難症例の場合,また様々な背景から適切に歯科を受診することが困難である場合など,可撤性義歯による十分な機能回復やQOLの改善が達成されない可能性も考えられる.そのような場合に,義歯の安定性や咀嚼機能を補助する目的で義歯安定剤を使用することは,一つの選択肢となり得る.
我々が実施したWeb調査において,可撤性義歯装着者のうち21.6%が何らかの義歯安定剤を使用していたこと,また義歯安定剤にはクリームタイプ,クッションタイプ,パウダータイプ,シートタイプなど複数の種類が存在するが,クリームタイプが66.7%と最も多く使用されていたことが示されている.クリームタイプ義歯安定剤は,維持力の向上や装着時の安心感を得やすく,咀嚼機能の向上に寄与するとの効果があることが報告されているが,口腔内や義歯床から除去しにくいという課題も残されている.
歯科診療においては診療前のクリームタイプ義歯安定剤の除去にかなりの時間を要し,完全な除去を諦めるケースもあり,診療に支障をきたすことがある.また,患者側でも適切に除去されないまま使用が継続された場合,義歯床下に残留した安定剤が口腔衛生状態の悪化や義歯の適合不良の一因となる可能性がある.実際の臨床や在宅・施設環境では,クリームタイプ義歯安定剤を完全に除去することは容易ではなく,義歯清掃の際に苦慮する場面も少なくないため,効率的かつ確実に除去できる方法が求められている.
こうした背景のもと,日本歯科薬品株式会社よりクリームタイプ義歯安定剤の除去を目的とした専用のクリーナーが新たに開発された.クリームタイプ義歯安定剤は特に口腔から除去しにくいが,本製品は口腔に強固に付着した安定剤も除去できる製品である.本セミナーでは,まず義歯安定剤の種類とその役割について概説するとともに,特にクリームタイプ義歯安定剤の特徴と臨床上の課題について整理する.続いて,新たに開発されたクリーナーの作用機序や特長について解説し,実際の使用動画を交えて紹介する.さらに,本製品を使用することによる義歯清掃の効率化や口腔衛生管理の向上といった臨床的メリットについても考察する.
本製品は臨床現場のみならず在宅歯科医療や介護現場での活用も期待される.本セミナーを通じて,義歯安定剤の適切な使用と管理の重要性を改めて整理するとともに,新たなクリーナーの臨床的有用性について紹介したい.