講演情報
[O-1-2]増粘多糖類を含む高粘性洗口剤を用いた口腔機能向上効果の検討
○楠 尊行1、鳥巣 哲朗2、松田 有加子1、林 浩基1、河原 茂仁1、森 智康2、髙橋 一也1、島田 明子1 (1. 大阪歯科大学高齢者歯科学講座、2. 長崎大学病院義歯補綴治療室)
【目的】
オーラルフレイルの兆候である食べこぼしは主に口輪筋筋力低下に伴う口唇閉鎖不全に起因する。本研究では,新規開発した増粘多糖類含有高粘性洗口剤(以下,高粘性洗口剤)を用いた含嗽が高齢者の口唇閉鎖力に及ぼす影響を評価するとともに,口腔機能低下症の予防および口腔機能の維持・向上を目的とした口腔リハビリテーションへの応用可能性を検討した。
【方法】
研究対象者は,本学附属病院高齢者歯科および長崎大学病院義歯補綴治療室を受診した70歳以上の患者のうち,上下顎前歯がすべて残存する者(冠橋義歯による欠損部補綴を含む),過去3か月以内に食べこぼしの自覚がある,またはオーラルディアドコキネシス/pa/が基準値(6.0回/秒)未満の者21名(男性3名,女性18名,平均年齢81±4歳)とした。除外基準はMMSE 27点未満,EAT-10 3点以上,欠損部に補綴装置が未装着の者,洗口剤常用者,洗口剤含有成分アレルギー既往を有する者とした。
研究対象者は,高粘性洗口剤を用いた口唇閉鎖を要する条件下での30秒間の含嗽を1日3回,4週間行った。使用開始日および4週間後に口唇閉鎖力の測定および口腔機能低下症の評価指標である口腔機能精密検査を実施した。各測定項目の使用開始日および4週間後の値について,対応のあるt検定またはWilcoxon符号付き順位検定で解析した。
【結果と考察】
高粘性洗口剤を用いた4週間の含嗽により,口唇閉鎖力は有意に増加した(P=0.011)。口腔機能精密検査において,舌苔付着度(P=0.006),舌圧(P=0.013),および咀嚼能力(P=0.009)が有意に改善した。口唇閉鎖を要する状況を日常的に付与した結果,口輪筋を含む口腔周囲筋群が機能的に賦活され,口唇閉鎖力が増大したと考えられた。舌圧の改善は,含嗽時の持続的な抵抗負荷による舌筋筋活動の促進に起因すると推察され,舌苔付着度の低下には,高粘性洗口剤による物理的洗浄作用に加え,舌運動および口腔自浄作用の亢進が関与した可能性が示唆された。以上より,高粘性洗口剤を用いた含嗽は,高齢者における口唇閉鎖力の向上に寄与するとともに,口腔機能低下症予防のための簡便な口腔リハビリテーション手段として有用である可能性が示された。
(COI開示:なし)
(長崎大学臨床研究審査委員会整理番号CRB22-001-4)
オーラルフレイルの兆候である食べこぼしは主に口輪筋筋力低下に伴う口唇閉鎖不全に起因する。本研究では,新規開発した増粘多糖類含有高粘性洗口剤(以下,高粘性洗口剤)を用いた含嗽が高齢者の口唇閉鎖力に及ぼす影響を評価するとともに,口腔機能低下症の予防および口腔機能の維持・向上を目的とした口腔リハビリテーションへの応用可能性を検討した。
【方法】
研究対象者は,本学附属病院高齢者歯科および長崎大学病院義歯補綴治療室を受診した70歳以上の患者のうち,上下顎前歯がすべて残存する者(冠橋義歯による欠損部補綴を含む),過去3か月以内に食べこぼしの自覚がある,またはオーラルディアドコキネシス/pa/が基準値(6.0回/秒)未満の者21名(男性3名,女性18名,平均年齢81±4歳)とした。除外基準はMMSE 27点未満,EAT-10 3点以上,欠損部に補綴装置が未装着の者,洗口剤常用者,洗口剤含有成分アレルギー既往を有する者とした。
研究対象者は,高粘性洗口剤を用いた口唇閉鎖を要する条件下での30秒間の含嗽を1日3回,4週間行った。使用開始日および4週間後に口唇閉鎖力の測定および口腔機能低下症の評価指標である口腔機能精密検査を実施した。各測定項目の使用開始日および4週間後の値について,対応のあるt検定またはWilcoxon符号付き順位検定で解析した。
【結果と考察】
高粘性洗口剤を用いた4週間の含嗽により,口唇閉鎖力は有意に増加した(P=0.011)。口腔機能精密検査において,舌苔付着度(P=0.006),舌圧(P=0.013),および咀嚼能力(P=0.009)が有意に改善した。口唇閉鎖を要する状況を日常的に付与した結果,口輪筋を含む口腔周囲筋群が機能的に賦活され,口唇閉鎖力が増大したと考えられた。舌圧の改善は,含嗽時の持続的な抵抗負荷による舌筋筋活動の促進に起因すると推察され,舌苔付着度の低下には,高粘性洗口剤による物理的洗浄作用に加え,舌運動および口腔自浄作用の亢進が関与した可能性が示唆された。以上より,高粘性洗口剤を用いた含嗽は,高齢者における口唇閉鎖力の向上に寄与するとともに,口腔機能低下症予防のための簡便な口腔リハビリテーション手段として有用である可能性が示された。
(COI開示:なし)
(長崎大学臨床研究審査委員会整理番号CRB22-001-4)
