講演情報
[O-1-4]せん妄を契機に全身麻酔下に行った鼻中隔膿瘍の感染源である埋伏歯抜歯の一例
○細川 瑠美子1、上野 陽子2、佐々木 謙2,3、陣内 暁夫2 (1. 医療法人徳洲会 福岡徳洲会病院 歯科口腔外科、2. 医療法人井上会 篠栗病院 歯科、3. 医療法人 ささき歯科)
【諸言・目的】
高齢者では認知機能の変動や入院に伴う環境変化によりせん妄が出現しやすく,歯科治療において局所麻酔下での協力が得られないケースも多い。本症例では,当初局所麻酔下で抜歯を予定していた高齢患者が入院後にせん妄を呈し,全身麻酔下で安全に抜歯を実施した経過を報告する。
【症例および経過】
84歳女性。糖尿病の合併症あり。息のしづらさを主訴に近医耳鼻科クリニック受診し、鼻中隔膿瘍を認めた。画像検査で上顎正中部の埋伏歯周囲の骨吸収を認め、当院耳鼻科・歯科口腔外科へ紹介受診となった。感染源である上顎埋伏歯の抜歯により、鼻中隔症状の改善を見込めると判断し、局所麻酔下での抜歯ならびに耳鼻科での経過観察を計画した。受診時は家族の同伴あり、特に問題なく本人と意思疎通可能であった。しかし翌日転倒し、大腿骨骨折の診断で、手術目的に当院整形外科入院となった。入院後,環境変化や疼痛を契機にせん妄が顕在化し,意思疎通の困難さと処置時の不穏行動が予想され,局所麻酔下での抜歯は安全性に欠けると判断した。耳鼻科と協議のうえ,全身麻酔下での鼻中隔感染部処置と抜歯を行うこととした。全身麻酔下で耳鼻科医師により鼻中隔部処置を行い、当科で埋伏歯を抜歯した。術後は感染症状が改善した。せん妄の増悪も認めず,処置は安全に完遂された。その後は大腿骨骨折部に対するリハビリ目的に転院となった。なお,本報告の発表について患者家族から文書による同意を得ている。
【考察】
本症例は,せん妄リスクを有する高齢者では局所麻酔に固執せず,全身麻酔を選択肢として検討する必要性を示している。高齢者に対する全身麻酔は必ずしも危険ではなく,特に,治療協力の得られない認知症患者やせん妄発症患者においては,全身麻酔が治療の質と安全性を両立させ得る有効な手段と考えられる。以上より,高齢者歯科診療においては,せん妄リスクの把握が麻酔法選択の鍵となる。
(COI 開示:なし)
(福岡徳洲会病院倫理委員会より付議不要の返答があった)
高齢者では認知機能の変動や入院に伴う環境変化によりせん妄が出現しやすく,歯科治療において局所麻酔下での協力が得られないケースも多い。本症例では,当初局所麻酔下で抜歯を予定していた高齢患者が入院後にせん妄を呈し,全身麻酔下で安全に抜歯を実施した経過を報告する。
【症例および経過】
84歳女性。糖尿病の合併症あり。息のしづらさを主訴に近医耳鼻科クリニック受診し、鼻中隔膿瘍を認めた。画像検査で上顎正中部の埋伏歯周囲の骨吸収を認め、当院耳鼻科・歯科口腔外科へ紹介受診となった。感染源である上顎埋伏歯の抜歯により、鼻中隔症状の改善を見込めると判断し、局所麻酔下での抜歯ならびに耳鼻科での経過観察を計画した。受診時は家族の同伴あり、特に問題なく本人と意思疎通可能であった。しかし翌日転倒し、大腿骨骨折の診断で、手術目的に当院整形外科入院となった。入院後,環境変化や疼痛を契機にせん妄が顕在化し,意思疎通の困難さと処置時の不穏行動が予想され,局所麻酔下での抜歯は安全性に欠けると判断した。耳鼻科と協議のうえ,全身麻酔下での鼻中隔感染部処置と抜歯を行うこととした。全身麻酔下で耳鼻科医師により鼻中隔部処置を行い、当科で埋伏歯を抜歯した。術後は感染症状が改善した。せん妄の増悪も認めず,処置は安全に完遂された。その後は大腿骨骨折部に対するリハビリ目的に転院となった。なお,本報告の発表について患者家族から文書による同意を得ている。
【考察】
本症例は,せん妄リスクを有する高齢者では局所麻酔に固執せず,全身麻酔を選択肢として検討する必要性を示している。高齢者に対する全身麻酔は必ずしも危険ではなく,特に,治療協力の得られない認知症患者やせん妄発症患者においては,全身麻酔が治療の質と安全性を両立させ得る有効な手段と考えられる。以上より,高齢者歯科診療においては,せん妄リスクの把握が麻酔法選択の鍵となる。
(COI 開示:なし)
(福岡徳洲会病院倫理委員会より付議不要の返答があった)
