講演情報

[O-1-6]抜歯後の治癒不全を契機に骨髄異形成症候群と診断された1例

○日吉 彩乃1、齊藤 美香1、森 美由紀1、武山 桂己1、宮本 敦子1、森 彩乃1、大鶴 洋2、平野 浩彦1 (1. 東京都健康長寿医療センター歯科口腔外科、2. 東京都)
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【緒言・目的】
 骨髄異形成症候群(MDS)は、未熟な造血細胞に生じた異常が原因と考えられる骨髄系造血器腫瘍の一つである。今回われわれは抜歯後の治癒不全を契機にMDSと診断された1例を経験したため報告する。
【症例および経過】
 患者:85歳男性。
 既往歴:慢性膵炎、高血圧症、右側顔面帯状疱疹後。
 現病歴:初診日-17日、右側下顎部の疼痛を主訴に紹介医を受診した。う蝕症第三度による疼痛と診断され、右側下顎側切歯、第一小臼歯を抜歯した。初診日-11日、右側下顎犬歯を抜歯したが、抜歯後の疼痛が軽減せず、発熱もみられるため、当科初診となった(第1病日)。
 初診時全身所見:体温:37.1度、SpO2:97%(RA)、呼吸数20回/分。
 口腔内所見:抜歯窩は陥凹し、骨露出を認めた。頬側歯肉に軽度の硬結及び腫脹を認めた。
 画像検査所見:パノラマエックス線及びデンタルエックス線写真では、抜歯窩の歯槽骨は粗造であり、歯根の残存は認めなかった。CT画像では下顎骨に明らかな骨硬化や溶骨性変化は認めなかった。
 血液検査所見:血液検査所見では、ヘモグロビン6.0g/dL、血小板数67,000/μLと低値を呈し、骨髄芽球の出現を認めた。
 処置及び経過:第1病日、当院血液内科に入院となった。同日に濃厚赤血球4単位を輸血し、セフェピム塩酸塩の経静脈投与を開始した。第3病日、歯肉と歯槽骨を生検し炎症細胞浸潤と腐骨の診断を得た。また、同日に施行した骨髄穿刺結果で、MDS-EB2の確定診断が得られた。疼痛は抜歯後の治癒不全、発熱は抜歯後感染によるものと診断した。抜歯窩は第12病日には上皮化し、現在に至るまで経過は良好である。MDSに対しては、現在当院血液内科で加療中である。なお、本報告の発表について患者本人から同意を得ている。
【考察】
 抜歯後出血を契機に全身疾患が診断された症例は報告されているが、抜歯後数日が経過し抜歯窩の治癒不全を契機に未治療のMDSの診断に至った症例報告は、われわれが渉猟し得た限りでは1例であった。観血的処置後、出血だけでなく治癒不全の際も、患者の全身状態から全身疾患が疑われる場合は速やかに医科と連携し、適切に判断することが重要であると考える。
(COI 開示:なし)
(倫理審査対象外)