講演情報

[O-3-2]地域在住高齢者における咬合力・AGEs・認知機能の関連:お達者健診研究

○清村 慶子1,2、岩崎 正則2,3、白部 麻樹2、本川 佳子2、枝広 あや子2、細川 知隆1、正木 千尋1、細川 隆司1、大渕 修一2、平野 浩彦2 (1. 九州歯科大学 口腔再建補綴学分野、2. 東京都健康長寿医療センター研究所、3. 北海道大学大学院歯学研究院)
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【目的】
 口腔機能は認知機能と関連することが示唆されているが,そのメカニズムは十分に解明されていない。終末糖化産物(Advanced Glycation End Products: AGEs)の蓄積は糖化ストレスや慢性炎症を介して認知機能障害に関与する。我々は先行研究で,口腔機能が良好な高齢者ではAGEs蓄積が少ないことを報告した。そこで本研究では,AGEsを媒介因子と位置づけ「咬合力 → AGEs蓄積 → 認知機能」という仮説モデルを検証した。
【方法】
 2023年度来場型健診に参加した65歳以上の地域在住高齢者のうち,データ欠損のない者を解析対象とした。AGE Reader(Diagnoptics Technologies社)でAGEsスコアを測定し,高値ほど蓄積が多いと解釈した。咬合力は口腔機能モニター Oramo-bf を用いて測定し,認知機能検査にはMini-Mental State Examination(MMSE)を用いた。咬合力(性別層化上位20%,下位80%),AGEsスコア(連続量),認知機能(28–30点=正常,24–27点=軽度低下,23点以下=低下)の関連を年齢,性別,教育年数,喫煙,飲酒,運動習慣,体格,併存疾患を調整した一般化構造方程式モデリング(GSEM)で分析し,間接効果を推定した。
【結果と考察】
 研究対象者は581名(男性218名,女性363名,平均年齢73.8歳)で,AGEsの平均値(標準偏差)は2.4(0.4)であった。MMSE は正常434名(74.7%),軽度低下122名(21.1%),低下25名(4.3%)であった。GSEM による推定では,AGEsを介した咬合力の認知機能への間接効果は −0.090(95%信頼区間 −0.173 ~ −0.007)であった。以上の結果から,本研究においては,咬合力が高い高齢者では AGEs 蓄積が少なく,そのことを介してより良好な認知機能を示す可能性が示された。口腔機能の維持・向上は,咀嚼機能の保持のみならず,糖化ストレスの軽減と関連する可能性があり,認知機能の保持に寄与し得ると考えられる。今後は,縦断研究による因果関係の検証に加え,AGEs 制御を目的とした介入研究が必要である。
( COI 開示:なし)
(東京都健康長寿医療センター研究倫理審査委員会承認番号 R21-06)