講演情報

[O-3-4]通所介護事業所の利用者を対象とした口腔機能訓練が身体機能に及ぼす影響の検討

○三角 洋美1 (1. 新潟大学大学院医歯学総合研究科 口腔生命福祉学講座)
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【目的】
 現在の日本は超高齢化社会を迎え、健康寿命の延伸が課題となっている。高齢者が生活の質を維持し尊厳のある人生を送るためには、疾病予防、介護予防、フレイル予防を含む多角的なアプローチが求められている。高齢者では、口腔環境の悪化や口腔機能の低下が生じる。口腔機能の低下は、低栄養やフレイル、要介護状態や死亡リスクの上昇などの全身的な健康状態に影響する。早期に口腔機能の低下のサインを見逃さず介入することは、全身状態の重症化を予防することにつながる。介護予防のメニューの一つとして、口腔機能向上サービスが位置づけられた。その効果は多数報告されているが、いずれも口腔機能や口腔衛生に対するものであり、身体機能への影響についての検討は不十分である。
 本研究の目的は、6ヵ月間の口腔機能向上サービスによる口腔および身体機能の変化を検証し、その効果に関連する要因を明らかにすることである。
【対象と方法】
 某通所介護事業所の利用者31名のうち自立歩行不可能な者を除外し、本研究の趣旨に同意を得られた26名に介入し、6ヵ月間継続して評価を完了できた21名を分析対象とした。
 6ヵ月間口腔機能向上サービスを提供し、介入前後の身体・口腔に関する測定を行った。統計学的検討は、正規性の検討を行い、正規性が確認できたことにより対応のあるt-検定を用いて行った。要因分析は、5m通常歩行速度、握力および口唇閉鎖力のそれぞれの変化量を従属変数とし、それを3分位にカテゴリー化し、介護度、機能歯数、現在歯数を個々に独立変数として、それぞれに共変量として年齢、性別を加え順序ロジスティック回帰分析を行った。
【結果と考察】
 6ヵ月間の口腔機能向上サービスの提供は、握力、口唇閉鎖力および舌圧が有意に向上した(p<0.009, p <0.02, p <0.008)。歩行速度には、有意差は認められなかった。要因分析については、歩行速度の変化量が介護度と関連していた。介護度が高い場合には効果が低くなってしまうことを示している。介入を行う際には対象者の介護度に合わせ実施方法を検討する必要がある。6ヵ月間の口腔機能向上サービスの継続的提供により、握力、口唇閉鎖力および舌圧の改善が確認されたことから、身体機能の向上につながる可能性が示唆された。(COI 開示:なし)
(日本歯科衛生学会研究倫理審査委員会承認番号1)