講演情報

[O-4-1]地域在住高齢者の身体的フレイルが歯科受診行動・口腔清掃状態を介して歯周病に及ぼす影響:お達者健診研究

○中村 直太郎1,2、岩崎 正則1,2、白部 麻樹2、本川 佳子2、枝広 あや子2、大渕 修一2、平野 浩彦2 (1. 北海道大学大学院歯学研究院、2. 東京都健康長寿医療センター研究所)
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【目的】
 歯科専門職によるプラーク除去を含む定期的な専門的口腔清掃、または指導が歯周組織の健康維持に有効であり、一方で、身体機能が低下した高齢者では歯科受診の継続が困難になりやすいことが報告されている。これらの個別の知見を統合し、本研究では、身体的フレイルが歯科受診回避および口腔清掃状態を媒介して歯周病に及ぼす影響を検証することを目的とした。
【方法】
 2021年度の来場型健診(お達者健診研究)に参加した65歳以上の地域在住高齢者を対象とした。身体的フレイルは改訂J-CHS基準、歯周病は periodontal inflamed surface area(PISA)により評価した。身体的フレイルを説明変数X、歯科受診回避(過去1年間に、具合が悪いところがあるにもかかわらず歯科受診を控えたかどうか)を媒介変数M1、健診当日の口腔清掃状態 Simplified Oral Hygiene Index(OHI-S)を媒介変数M2、PISAを目的変数Yと定義し、Bayesian generalized structural equation modeling(Bayesian-GSEM)を用いて、間接効果および媒介因子を介さない直接効果を推定した。
【結果と考察】
 解析対象者471名(平均年齢73.1歳、男性189名、女性282名)のうち、身体的フレイル該当者は26名(5.5%)であり、PISAの平均値(SD)は89.9 mm²(142.4 mm²)、OHI-Sは0.7(0.8)、歯科受診回避者は77名(16.3%)であった。Bayesian-GSEMによる解析では、身体的フレイルの直接効果は β=69.3(95%信用区間[CrI]:17.1–122.1)、総間接効果は β=81.5(95%CrI:25.7–147.6)と推定され、 特にX→M1→Y および X→M1→M2→Y の経路における媒介効果が確認された。一方、X→M2→Y の単独経路における媒介効果は明確ではなかった。以上より、フレイル高齢者では、歯科受診回避と口腔清掃不良を介して歯周病が悪化する可能性が示された。本研究のみで因果関係の断定はできないが、歯科受診支援および口腔衛生管理の強化は、介入標的となり得ると考えられる。 ( COI 開示:なし) (東京都健康長寿医療センター研究倫理審査委員会承認番号 R21-06)