講演情報
[O-4-3]訪問系および短期入所サービスにおける口腔評価の実態―歯科専門職と他職種の評価結果の比較―
○石井 美紀1,7、中川 量晴1,7、吉見 佳那子1,7、高橋 知佳1,7、渡邊 賢礼2,7、鈴木 瞳3、増田 絵美奈4,7、渡邊 裕5,7、平野 浩彦6,7、戸原 玄1 (1. 東京科学大学大学院医歯学総合研究科 摂食嚥下リハビリテーション学分野、2. 昭和医科大学歯学部 口腔衛生講座、3. 千葉県立保健医療大学健康科学部 歯科衛生学科、4. 日本歯科医師会 日本歯科総合研究機構、5. 北海道大学大学院歯学研究院 口腔健康科学分野 高齢者歯科学教室、6. 東京都健康長寿医療センター病院 歯科口腔外科、7. 日本老年歯科医学会 特任委員会(老健事業))
【目的】
令和6年介護報酬改定で訪問系および短期入所サービスに「口腔連携強化加算」が新設された。本加算は看護・リハ・介護職等がサービス利用者の口腔評価を含む。要介護高齢者の口腔評価は食支援やケア方針の検討に不可欠であるが,評価項目によっては職種間で捉え方が異なる可能性がある。本研究は「口腔の健康状態の評価」8項目について,歯科専門職と訪問系および短期入所サービス事業者の評価結果を比較し,一致の程度と特徴を明らかにすることを目的とした。
【方法】
令和6年度に実施した老健事業『訪問系および短期入所サービスにおける口腔の連携強化に関する調査研究事業』のデータを用いた。口腔の健康状態の評価8項目(開口,歯の汚れ,舌の汚れ,歯肉の腫れ・出血,左右奥歯でのかみしめ,むせ,ぶくぶくうがい,食物のため込み・残留)について,同一利用者に対する歯科専門職と他職種の評価結果を集計した。「問題あり」と評価した割合を比較し,クロス集計表を用いて一致率およびCohenのκ係数を算出した。
【結果と考察】
対象者数は項目により25~87名であった。「開口」「ぶくぶくうがい」では「問題あり」の割合はほぼ同等で,一致率はそれぞれ98.9%,94.0%,κ係数は0.66,0.67と中等度以上であった。一方「歯の汚れ」「舌の汚れ」は他職種で「問題あり」と評価する割合が高く,一致率は59.8%,49.4%,κ係数は0.20,−0.02であった。「歯肉の腫れ・出血」「左右奥歯でのかみしめ」「食物のため込み・残留」は歯科専門職で「問題あり」の割合が高く,κ係数は0.09~0.35であった。「むせ」は一致率83.3%,κ係数0.82と高い一致率を示した。
評価項目により歯科専門職と他職種での「問題あり」の捉え方に差を認めた。特に「開口」「ぶくぶくうがい」など日常動作の観察に基づく評価項目は一致するが,口腔内所見や摂食に関わる評価では,判断基準の違いにより差がでやすい可能性がある。要介護高齢者の口腔の問題を早期に把握するためには,歯科訪問診療を担う連携歯科医療機関への相談体制の整備や,他職種への教育・情報提供を通じた連携強化を図る等,介護現場と歯科の連携のあり方を継続して検討する必要性が示唆された。
(COI 開示:なし)
(倫理審査委員会承認番号 老年歯科倫理 2024-4)
令和6年介護報酬改定で訪問系および短期入所サービスに「口腔連携強化加算」が新設された。本加算は看護・リハ・介護職等がサービス利用者の口腔評価を含む。要介護高齢者の口腔評価は食支援やケア方針の検討に不可欠であるが,評価項目によっては職種間で捉え方が異なる可能性がある。本研究は「口腔の健康状態の評価」8項目について,歯科専門職と訪問系および短期入所サービス事業者の評価結果を比較し,一致の程度と特徴を明らかにすることを目的とした。
【方法】
令和6年度に実施した老健事業『訪問系および短期入所サービスにおける口腔の連携強化に関する調査研究事業』のデータを用いた。口腔の健康状態の評価8項目(開口,歯の汚れ,舌の汚れ,歯肉の腫れ・出血,左右奥歯でのかみしめ,むせ,ぶくぶくうがい,食物のため込み・残留)について,同一利用者に対する歯科専門職と他職種の評価結果を集計した。「問題あり」と評価した割合を比較し,クロス集計表を用いて一致率およびCohenのκ係数を算出した。
【結果と考察】
対象者数は項目により25~87名であった。「開口」「ぶくぶくうがい」では「問題あり」の割合はほぼ同等で,一致率はそれぞれ98.9%,94.0%,κ係数は0.66,0.67と中等度以上であった。一方「歯の汚れ」「舌の汚れ」は他職種で「問題あり」と評価する割合が高く,一致率は59.8%,49.4%,κ係数は0.20,−0.02であった。「歯肉の腫れ・出血」「左右奥歯でのかみしめ」「食物のため込み・残留」は歯科専門職で「問題あり」の割合が高く,κ係数は0.09~0.35であった。「むせ」は一致率83.3%,κ係数0.82と高い一致率を示した。
評価項目により歯科専門職と他職種での「問題あり」の捉え方に差を認めた。特に「開口」「ぶくぶくうがい」など日常動作の観察に基づく評価項目は一致するが,口腔内所見や摂食に関わる評価では,判断基準の違いにより差がでやすい可能性がある。要介護高齢者の口腔の問題を早期に把握するためには,歯科訪問診療を担う連携歯科医療機関への相談体制の整備や,他職種への教育・情報提供を通じた連携強化を図る等,介護現場と歯科の連携のあり方を継続して検討する必要性が示唆された。
(COI 開示:なし)
(倫理審査委員会承認番号 老年歯科倫理 2024-4)
