講演情報

[O-4-6]油性成分を主体とした粘膜保護義歯安定剤の総義歯の維持・安定に関する効果-クロスオーバー比較試験-

○竹内 みのり1、竜 正大1、上田 貴之1 (1. 東京歯科大学老年歯科補綴学講座)
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【目的】
 総義歯の維持不良には顎堤吸収や唾液量の減少など複数の要因が関与する。義歯の維持・安定の向上には、適合改善に加えて義歯安定剤の使用も有効である。市販の義歯安定剤は主に唾液と反応することでその効果を発揮するため、口腔乾燥の患者では効果が十分でないことがある。そこで、唾液との反応に依存しない油性成分を主体とした粘膜保護義歯安定剤に着目し、総義歯の維持・安定に対する効果を検討することを目的とした。 
【方法】
 東京歯科大学水道橋病院補綴科を受診した総義歯装着者(片顎のみを含む)のうち、定期診査中で義歯の適合が良好な患者21名(男性11名、女性10名、平均年齢74±9歳)を対象とした。粘膜保護義歯安定剤と市販義歯安定剤(クリームタイプ)をランダムに割り付け、2週間使用後にウォッシュアウト期間を設定し、他方へ切り替えるクロスオーバー比較試験を行った。事前に口腔水分量を測定した。各義歯安定剤使用前後に、患者による義歯の安定感に関する主観的評価を0~10のNumerical Rating Scale(NRS)で、歯科医師による義歯の維持と安定を3段階で評価した。NRS値の変化量は線形混合モデルにて、歯科医師による評価(向上vs維持・低下)はMcNemar検定にて解析した(α=0.05)。
【結果と考察】
 対象者の口腔水分量(平均±SD)は25.8±2.9であった。義歯の安定感に関する主観的評価のNRS値(平均±SD)は、粘膜保護義歯安定剤で使用前6.4±3.0 から使用後7.5±2.3に、市販義歯安定剤で使用前6.0±3.0から使用後7.8±2.2に増加した。NRS変化量の両剤の混合モデル推定差(粘膜保護−市販)は−1.82(95%CI −4.04~0.40)で、両剤間に明確な差を認めなかった。歯科医師による義歯の維持の評価は、粘膜保護義歯安定剤で向上11名、維持10名、低下0名であり、市販義歯安定剤で向上8名、維持12名、低下1名であった。歯科医師による義歯の安定の評価は、両剤とも向上8名、維持13名であった。使用前後の評価の変化は、維持・安定ともに両剤間に明確な差を認めなかった。以上の結果から、粘膜保護義歯安定剤と市販義歯安定剤のいずれも、患者NRS値と歯科医師評価において維持・安定の改善が示された。
(COI 開示:ウエルテック株式会社)
(東京歯科大学 倫理審査委員会承認番号 1148)