講演情報

[O-5-5]性差に左右されない頸動脈三角動作を指標とする嚥下機能評価システム

○山田 愛花1、森豊 理英子2、肥後 智行2、吹野 恵子3、阿部 大数4、中川 量晴2、稲次 基希4、秋田 恵一3、戸原 玄2、荒船 龍彦5 (1. 東京電機大学大学院理工学研究科電子工学専攻、2. 東京科学大学大学院医歯学総合研究科摂食嚥下リハビリテーション学分野、3. 東京科学大学大学院医歯学総合研究科臨床解剖学分野、4. 東京科学大学医学部付属病院脳神経外科、5. 東京電機大学理工学部理工学科電子情報工学系)
PDFダウンロードPDFダウンロード
【目的】近年,嚥下機能低下を早期にスクリーニングするため,被ばくリスクのあるVFSSやFEES以外の,外部から嚥下機能を評価する方法が様々に研究されている。それらは主に喉頭に着目をした研究が大半であるが,女性や喉頭部の皮膚のたるみがある被験者では評価できないという技術的課題点がある。そこで本研究では喉頭部以外の嚥下時における動きを可視化し,性差に伴う喉頭位置や形状差に依存しない,新たな嚥下機能評価が可能なシステム開発を目的とする。
【方法】頸動脈三角の皮膚上に複数の円形シールをマーカとして貼付け,嚥下時のマーカの動きをビデオカメラで撮影し,オプティカルフローを用いて全マーカの移動軌跡を導出するシステムを開発した。東京科学大学病院摂食嚥下リハビリテーション科外来を受診した患者にVFSSを施行すると同時にX線照射と同方向から4K解像度,30コマ/秒で動画撮影した。撮影データを開発したシステムを用いて処理し,VFSSと時間同期処理を行った。 被験者はVFSS検査中に誤嚥がなかった女性患者1名,誤嚥があった男性患者1名のデータを解析対象とし,バリウム水8ccを嚥下して計測を行った。(東京科学大学医学系倫理審査委員会,承認番号M2023-247)
【結果と考察】VFSSで誤嚥なく嚥下した患者は,『咽頭に食塊が到達した直後のタイミング』と,マーカ移動軌跡波形における嚥下開始後1つ目のピーク時が同期していた。一方,誤嚥した患者では,『食道入口部を食塊が通過開始するタイミング』と波形ピークが同期していた。つまり咽頭収縮と食塊移送のタイミングが合わず,誤嚥が生じたと考えられる。以上から,頸動脈三角の動きをみることで,性差に伴う喉頭位置や形状差に依存しない解剖学的指標として使用できる可能性があり,食塊位置と頸動脈三角の動きのズレで嚥下機能が評価できる可能性が示唆された。
(COI開示:なし)