講演情報
[P-010]口腔機能低下症の自立高齢女性への食事指導と運動指導を含む口腔機能管理の効果:2年間の前向き研究
○太田 緑1、大沢 由茉2、上田 貴之1,2 (1. 東京歯科大学老年歯科補綴学講座、2. 東京歯科大学水道橋病院歯科衛生士部)
【目的】
口腔機能低下症の管理では,栄養状態を含む全身状態の把握が推奨されている。本研究は,口腔機能低下症の65歳以上の自立女性を対象に,24か月間の口腔機能管理が口腔機能および全身筋肉量に与える影響を検討することを目的とした。
【方法】
東京歯科大学水道橋病院補綴科にて口腔機能低下症と診断された65歳以上の女性18名(平均年齢77±5歳)を対象とした。口腔機能精密検査(舌背上総微生物数,口腔水分量,咬合力,オーラルディアドコキネシス,舌圧,咀嚼能率,嚥下機能)を実施した。また,BIA法(InBody S10)でFFMIおよび骨格筋指数(SMI)を算出した。3か月ごとに食事指導および運動指導を含む口腔機能管理を行った。開始時と24か月後の測定値をWilcoxon符号付順位検定で比較した(α=0.05)。
【結果と考察】
開始時の口腔機能低下症該当項目数(平均値±SD)は3.4±0.6,BMI(平均値±SD)は22.9±2.4だった。また,サルコペニア診断基準(AWGS 2025)における65歳以上女性の ASM/BMI の基準値0.57を下回る者は1名だった。咬合力(N)の中央値(四分位範囲)は,開始時408.9(213.4-480.8)が,24か月後511.8(450.4-576.7)となり,両時点間に有意差を認めた。他の口腔機能では有意差を認めなかった。24か月後,18名中9名が口腔機能低下症から回復した。筋肉量指標は,FFMI(kg/m2)は16.0(15.4-16.3)が16.1(15.6-16.5)に,SMI(kg/m2)は6.8(6.3-7.3)が7.2(6.6-7.4)となり,いずれも両時点間に有意差を認めた。
本研究の参加者は外来患者であり,BMIおよび筋肉量が比較的維持されていた。そのような者でも24か月間の継続的な口腔機能管理により,咬合力および全身筋肉量指標の向上が認められた。一般的に加齢により筋肉量が減少しやすいことを踏まえると,本研究でFFMIおよびSMIの増加が認められたことは,食事指導および運動指導を含む口腔機能管理が,将来的なフレイルやサルコペニアの予防につながる可能性が示唆された。
(JSPS科研費JP21K17073)
(COI開示:なし)
(東京歯科大学倫理審査委員会承認1069)
口腔機能低下症の管理では,栄養状態を含む全身状態の把握が推奨されている。本研究は,口腔機能低下症の65歳以上の自立女性を対象に,24か月間の口腔機能管理が口腔機能および全身筋肉量に与える影響を検討することを目的とした。
【方法】
東京歯科大学水道橋病院補綴科にて口腔機能低下症と診断された65歳以上の女性18名(平均年齢77±5歳)を対象とした。口腔機能精密検査(舌背上総微生物数,口腔水分量,咬合力,オーラルディアドコキネシス,舌圧,咀嚼能率,嚥下機能)を実施した。また,BIA法(InBody S10)でFFMIおよび骨格筋指数(SMI)を算出した。3か月ごとに食事指導および運動指導を含む口腔機能管理を行った。開始時と24か月後の測定値をWilcoxon符号付順位検定で比較した(α=0.05)。
【結果と考察】
開始時の口腔機能低下症該当項目数(平均値±SD)は3.4±0.6,BMI(平均値±SD)は22.9±2.4だった。また,サルコペニア診断基準(AWGS 2025)における65歳以上女性の ASM/BMI の基準値0.57を下回る者は1名だった。咬合力(N)の中央値(四分位範囲)は,開始時408.9(213.4-480.8)が,24か月後511.8(450.4-576.7)となり,両時点間に有意差を認めた。他の口腔機能では有意差を認めなかった。24か月後,18名中9名が口腔機能低下症から回復した。筋肉量指標は,FFMI(kg/m2)は16.0(15.4-16.3)が16.1(15.6-16.5)に,SMI(kg/m2)は6.8(6.3-7.3)が7.2(6.6-7.4)となり,いずれも両時点間に有意差を認めた。
本研究の参加者は外来患者であり,BMIおよび筋肉量が比較的維持されていた。そのような者でも24か月間の継続的な口腔機能管理により,咬合力および全身筋肉量指標の向上が認められた。一般的に加齢により筋肉量が減少しやすいことを踏まえると,本研究でFFMIおよびSMIの増加が認められたことは,食事指導および運動指導を含む口腔機能管理が,将来的なフレイルやサルコペニアの予防につながる可能性が示唆された。
(JSPS科研費JP21K17073)
(COI開示:なし)
(東京歯科大学倫理審査委員会承認1069)
