講演情報

[P-011]若年期・中年期の主観的口腔状態とオーラルフレイルの関連:柏スタディ

○溝口 奈菜1、永谷 美幸1、田子森 順子1、池田 健太郎1,2、前田 真理子1、田中 友規2,3、飯島 勝矢2,3 (1. サンスター株式会社、2. 東京大学高齢社会総合研究機構、3. 東京大学未来ビジョン研究センター)
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【目的】
 オーラルフレイル(OF)は要介護・死亡リスクを高め,予防対策が求められている。40代の1割がOF,2割がOF予備群との報告もあり,OFは高齢期のみならず若年期からの口腔状態の不調の蓄積が関与している可能性がある。本研究では,ライフコースを通じた口腔状態が将来的なOF発症に関連するか検証するため,地域在住高齢者の若年期・中年期の主観的口腔状態とOF該当の関連を横断的に検証した。
【方法】
 対象は柏市在住65歳以上のコホート研究(柏スタディ)の2021年参加者のうち,使用変数に欠損値のない者とした。OFはOral frailty 5-item Checklistで評価し,2項目以上該当をOF該当とした。過去の主観的口腔状態は,質問票により若年期:15歳時および中年期:40-64歳時を評価した。調整変数は年齢,性別,BMI,教育年数,認知機能(MMSE)とした。統計解析は2項ロジスティック回帰分析を用い,有意水準は5%未満とした。
【結果と考察】
 対象者1,596名(平均年齢75.8±6.2歳)のうち,OF該当者は497名(31.1%)。若年期,中年期に「当時,歯の状態(歯槽膿漏や入れ歯)は悪かった」と回答した者の割合は,OF該当者で有意に高かった。調整後も若年期と中年期の主観的口腔状態の悪さは,それぞれ独立してOF該当オッズ比が高かった(若年期:OR 1.85, 95%CI: 1.24-2.78;中年期:OR 3.13, 95%CI: 2.41-4.07)。さらに,両時期ともに口腔状態が悪かった者のOF該当オッズ比が最も高かった(若年期のみ:OR 2.78, 95%CI: 1.55-4.99;中年期のみ:OR 3.43, 95%CI: 2.59-4.54;両時期:OR 4.53, 95%CI: 2.74-7.43)。本研究により,地域在住高齢者において若年期・中年期の主観的口腔状態の悪さはそれぞれ独立して高齢期のOF該当と関連することが示された。特に若年期に主観的口腔状態が悪い者の多くが中年期も悪い状態にあり,両時期ともに口腔状態が悪かった群で最もオッズ比が高かった点は,口腔の不調が持続・蓄積する可能性を示し,早期からの継続的な口腔管理の重要性が示唆された。
(COI開示:サンスター株式会社,他1社)
(東京大学倫理審査専門委員会承認番号24-229)