講演情報
[P-013]舌半側切除により摂食嚥下機能が低下した患者に対して内視鏡下嚥下機能検査と補綴的アプローチを行った一例
○大保 直道1,2、藤井 航2、堤 康史郎3 (1. 医療法人福和会 行橋グリーン歯科医院、2. 九州歯科大学 摂食嚥下リハビリテーション学分野、3. 医療法人福和会 別府歯科医院)
【緒言・目的】摂食嚥下障害患者の全身的背景は多様であり,多角的な評価やアプローチが必要となる。今回は舌腫瘍術後の脳梗塞症例に対して内視鏡下嚥下機能検査(VE)と義歯新製及び形態修正を通じて食形態の改善へと至った一例を報告する。
【症例および経過】87才男性。介護老人保健施設に入所中。既往歴は22年前に右舌癌に対して舌半側切除術施行,心筋梗塞,高血圧,ラクナ梗塞など。日中は車椅子上で生活している。口腔内は下顎前歯部(43−33)のみ残存し,義歯は使用なし。清掃状態不良。食形態は主食が嚥下調整食(ゼリー),副食ミキサー食,水分トロミ付加。自力で全量摂取可能も食事時にむせあり。今後は自宅へ退所予定だが,家族が高齢であり介護負担も考慮し,可能な限り形がある物を食べたいと本人及び家族から希望があり,精査加療目的に当院を受診された。初診時の評価では舌尖,舌根部の運動障害を認めた。反復唾液嚥下テスト(RSST)0回/30sと嚥下機能低下に関して舌の運動障害の影響が推測された。咀嚼・嚥下機能向上を目的に上顎全部床義歯,下顎部分床義歯を製作した。上顎には義歯試適時に口蓋部へ粘膜調整材で舌接触補助床(PAP)形態を付与し口腔・嚥下機能の向上を図った。義歯完成後,舌圧は4.1kPaから5.6kPaへと上昇し,RSSTも1回/30sに改善した。ミールラウンドを重ね,主食を全粥へ変更することができたが,副食の刻み食への変更は施設スタッフが不安視していた。咽頭部の状態を確認し共有する目的で,VE検査を大学病院へ依頼した。VEでは摂取中の食形態と希望している形態(刻み)の食事を用いた。結果,微量の咽頭残留は認めたものの,反復嚥下と交互嚥下により残留は解消されたため,食形態は変更可能と判断した。また,下顎部分床義歯に関しても口腔内残留の改善を目的として,舌側の床形態を厚く硬質裏層材で形態修正を行った。食形態の変更後は目立ったむせもなく,以前よりも食事が楽しみになったと,本人より話があった。なお,本報告の発表について患者本人から文書による同意を得ている。
【考察】本症例では嚥下機能評価後,PAP製作という補綴的対応を行った上でVEを行い食形態の変更を決定した。嚥下機能低下に対しては画一的な対応ではなく患者ごとの対応が重要であることを改めて学んだ症例であった。
(COI 開示:なし)(倫理審査対象外)
【症例および経過】87才男性。介護老人保健施設に入所中。既往歴は22年前に右舌癌に対して舌半側切除術施行,心筋梗塞,高血圧,ラクナ梗塞など。日中は車椅子上で生活している。口腔内は下顎前歯部(43−33)のみ残存し,義歯は使用なし。清掃状態不良。食形態は主食が嚥下調整食(ゼリー),副食ミキサー食,水分トロミ付加。自力で全量摂取可能も食事時にむせあり。今後は自宅へ退所予定だが,家族が高齢であり介護負担も考慮し,可能な限り形がある物を食べたいと本人及び家族から希望があり,精査加療目的に当院を受診された。初診時の評価では舌尖,舌根部の運動障害を認めた。反復唾液嚥下テスト(RSST)0回/30sと嚥下機能低下に関して舌の運動障害の影響が推測された。咀嚼・嚥下機能向上を目的に上顎全部床義歯,下顎部分床義歯を製作した。上顎には義歯試適時に口蓋部へ粘膜調整材で舌接触補助床(PAP)形態を付与し口腔・嚥下機能の向上を図った。義歯完成後,舌圧は4.1kPaから5.6kPaへと上昇し,RSSTも1回/30sに改善した。ミールラウンドを重ね,主食を全粥へ変更することができたが,副食の刻み食への変更は施設スタッフが不安視していた。咽頭部の状態を確認し共有する目的で,VE検査を大学病院へ依頼した。VEでは摂取中の食形態と希望している形態(刻み)の食事を用いた。結果,微量の咽頭残留は認めたものの,反復嚥下と交互嚥下により残留は解消されたため,食形態は変更可能と判断した。また,下顎部分床義歯に関しても口腔内残留の改善を目的として,舌側の床形態を厚く硬質裏層材で形態修正を行った。食形態の変更後は目立ったむせもなく,以前よりも食事が楽しみになったと,本人より話があった。なお,本報告の発表について患者本人から文書による同意を得ている。
【考察】本症例では嚥下機能評価後,PAP製作という補綴的対応を行った上でVEを行い食形態の変更を決定した。嚥下機能低下に対しては画一的な対応ではなく患者ごとの対応が重要であることを改めて学んだ症例であった。
(COI 開示:なし)(倫理審査対象外)
