講演情報
[P-014]舌圧向上を目的としたマウスピース型口腔内装置使用による効果
○並木 千鶴1,2、原 豪志2、刀祢 順子2,3、戸原 玄1、多田 瑛3、谷口 裕重3 (1. 東京科学大学摂食嚥下リハビリテーション学分野、2. 衣笠あかり訪問歯科クリニック、3. 朝日大学歯学部口腔病態医療学講座摂食嚥下リハビリテーション学分野)
【目的】舌圧は食塊の保持および移送における重要な原動力であり,その低下は咀嚼障害や嚥下障害の要因となる。舌圧向上を目的とした舌口蓋押し当て訓練は,舌圧のみならず舌の巧緻性や嚥下動態の改善にも有効とされるが,手技の習得が困難である。本研究では,舌を口蓋に押し当てやすくするマウスピース型口腔内装置を用い,その訓練効果を検証した。【方法】対象は地域歯科外来に通院し,食事中のムセ等の問題を有する高齢者8名とした。マウスピースには上顎左右第一大臼歯口蓋側2か所および切歯孔部1か所の計3か所に球状の凸部を設けた。本装置を1日1時間毎日装着させ,初診時,1か月後,3か月後に評価を行った。評価項目は舌圧(中央,後方,左右),オーラルディアドコキネシス(ODK:/ta/,/ka/),聖隷式嚥下質問紙とした。統計解析はフリードマン検定を用い,有意差が認められた項目についてボンフェローニ補正後のウィルコクソン符号付順位検定を行った(調整後α=0.05÷3(比較回数) ,p<0.017)。【結果と考察】
フリードマン検定の結果,舌圧(p=0.006),ODKの/ka/(p=0.018),左側舌圧(p=0.034),聖隷式嚥下質問紙スコア(p=0.015)に有意差を認めた。事後検定では舌圧(p=0.012)およびODKの/ka/(p=0.016),聖隷式嚥下質問紙スコア(p=0.042)が初診時と3か月後で有意に向上した。本装置の装着により舌が凸部を触知し,口蓋への押し当て運動が無意識下に反復され,舌筋力向上による舌圧増加および舌骨上筋群の機能改善を介した嚥下機能の向上が示唆された。また左右の凸部により舌の側方運動が促され,左側舌圧や巧緻性の改善に寄与した可能性がある。さらに本装置は装着のみで舌運動を誘発でき,従来法と比較して実施容易性および継続性の向上に寄与する可能性がある。加えて,食事時のむせや飲み込みにくさといった自覚症状の軽減が認められた。本装置は舌圧および嚥下機能向上を目的とした訓練装置として有用である可能性が示された。
(朝日大学病院倫理請委員会承認番号:20230703)
(COI開示無し)
フリードマン検定の結果,舌圧(p=0.006),ODKの/ka/(p=0.018),左側舌圧(p=0.034),聖隷式嚥下質問紙スコア(p=0.015)に有意差を認めた。事後検定では舌圧(p=0.012)およびODKの/ka/(p=0.016),聖隷式嚥下質問紙スコア(p=0.042)が初診時と3か月後で有意に向上した。本装置の装着により舌が凸部を触知し,口蓋への押し当て運動が無意識下に反復され,舌筋力向上による舌圧増加および舌骨上筋群の機能改善を介した嚥下機能の向上が示唆された。また左右の凸部により舌の側方運動が促され,左側舌圧や巧緻性の改善に寄与した可能性がある。さらに本装置は装着のみで舌運動を誘発でき,従来法と比較して実施容易性および継続性の向上に寄与する可能性がある。加えて,食事時のむせや飲み込みにくさといった自覚症状の軽減が認められた。本装置は舌圧および嚥下機能向上を目的とした訓練装置として有用である可能性が示された。
(朝日大学病院倫理請委員会承認番号:20230703)
(COI開示無し)
