講演情報
[P-019]高齢者施設における施設職員と歯科医師による口腔の健康状態の評価の一致性
○佐藤 美寿々1、水谷 慎介2、釘宮 嘉浩3、三浦 和仁4、小原 由紀5、菅野 亜紀6、増田 絵美奈7、伊藤 加代子8、恒石 美登里7、秋野 憲一9、岡田 芳幸10、渡部 芳彦11、糸田 昌隆12、渡邊 裕4、平野 浩彦13、岩崎 正則1 (1. 北海道大学大学院歯学研究院予防歯科学教室、2. 九州大学大学院歯学研究院口腔顎顔面病態学講座 高齢者歯科学・全身管理歯科学分野、3. 国立長寿医療研究センター 歯科口腔外科部、4. 北海道大学 大学院歯学研究院 口腔健康科学分野 高齢者歯科学教室、5. 宮城高等歯科衛生士学院、6. 東京歯科大学短期大学 歯科衛生学科、7. 日本歯科医師会 日本歯科総合研究機構、8. 新潟大学医歯学総合病院 口腔リハビリテーション科、9. 札幌市保健福祉局ウェルネス推進部、10. 広島大学 障害者歯科、11. 東北福祉大学 健康科学部 医療経営管理学科、12. 大阪歯科大学附属病院 口腔リハビリテーション科、13. 東京都健康長寿医療センター病院 歯科口腔外科)
【目的】
高齢者施設において口腔の健康状態の評価は,歯科医師など歯科専門職による実施が望ましい一方,日常的な観察や判断は施設職員が担う場面が多い。そのため,施設職員による口腔の健康状態の評価が,歯科医師による評価とどの程度一致しているかを検証することは,日常ケアにおける評価の妥当性を考える上で重要である。本研究は,全国の高齢者施設を対象に,施設職員と歯科医師による口腔の健康状態の評価の一致性を項目別に明らかにすることを目的とした。
【方法】
令和6年度に,全国の介護保険施設および特定施設に入所する高齢者を対象とした横断研究を実施した。口腔の健康状態の評価項目は,開口,歯の汚れ,舌の汚れ,歯肉の腫れ・出血,咬合,むせ,ブクブクうがい,食物のため込み・残留の8項目とし,施設職員および歯科医師がそれぞれ定められた評価基準に基づき独立して評価を行った。変数に欠損のない者を解析対象とし,各項目について施設職員と歯科医師との一致率およびCohenのκ係数を算出した。
【結果と考察】
介護保険施設では890名が解析対象となり,施設職員と歯科医師との一致率は53.6~89.6%であった。開口(89.6%),咬合(77.1%),むせ(81.5%),ブクブクうがい(86.6%),食物のため込み・残留(84.5%)で高い一致率が示された。一方,歯の汚れ(67.3%),舌の汚れ(53.6%),歯肉の腫れ・出血(63.0%)では一致率が相対的に低かった。κ係数は0.10~0.69の範囲であり,ブクブクうがい(0.69),むせ(0.57),咬合(0.53),食物のため込み・残留(0.52)は中等度以上の一致を示した。特定施設では74名が解析対象となり,一致率は48.6~97.3%で,むせ(95.9%),ブクブクうがい(91.9%),食物のため込み・残留(87.8%)で高値を示したが,一部項目ではκ係数が低値または負の値を示した。これは評価分布の偏りによる影響と考えられる。以上より,施設職員と歯科医師による口腔の健康状態の評価は,機能や症状に関する項目では高い一致性を示す一方,汚れや炎症所見では一致性が低く,評価基準の理解支援や観察方法の標準化が必要であることが示唆された。
(COI 開示:なし)
(北海道大学病院生命・医学系研究倫理審査委員会承認番号 指023-0265)
高齢者施設において口腔の健康状態の評価は,歯科医師など歯科専門職による実施が望ましい一方,日常的な観察や判断は施設職員が担う場面が多い。そのため,施設職員による口腔の健康状態の評価が,歯科医師による評価とどの程度一致しているかを検証することは,日常ケアにおける評価の妥当性を考える上で重要である。本研究は,全国の高齢者施設を対象に,施設職員と歯科医師による口腔の健康状態の評価の一致性を項目別に明らかにすることを目的とした。
【方法】
令和6年度に,全国の介護保険施設および特定施設に入所する高齢者を対象とした横断研究を実施した。口腔の健康状態の評価項目は,開口,歯の汚れ,舌の汚れ,歯肉の腫れ・出血,咬合,むせ,ブクブクうがい,食物のため込み・残留の8項目とし,施設職員および歯科医師がそれぞれ定められた評価基準に基づき独立して評価を行った。変数に欠損のない者を解析対象とし,各項目について施設職員と歯科医師との一致率およびCohenのκ係数を算出した。
【結果と考察】
介護保険施設では890名が解析対象となり,施設職員と歯科医師との一致率は53.6~89.6%であった。開口(89.6%),咬合(77.1%),むせ(81.5%),ブクブクうがい(86.6%),食物のため込み・残留(84.5%)で高い一致率が示された。一方,歯の汚れ(67.3%),舌の汚れ(53.6%),歯肉の腫れ・出血(63.0%)では一致率が相対的に低かった。κ係数は0.10~0.69の範囲であり,ブクブクうがい(0.69),むせ(0.57),咬合(0.53),食物のため込み・残留(0.52)は中等度以上の一致を示した。特定施設では74名が解析対象となり,一致率は48.6~97.3%で,むせ(95.9%),ブクブクうがい(91.9%),食物のため込み・残留(87.8%)で高値を示したが,一部項目ではκ係数が低値または負の値を示した。これは評価分布の偏りによる影響と考えられる。以上より,施設職員と歯科医師による口腔の健康状態の評価は,機能や症状に関する項目では高い一致性を示す一方,汚れや炎症所見では一致性が低く,評価基準の理解支援や観察方法の標準化が必要であることが示唆された。
(COI 開示:なし)
(北海道大学病院生命・医学系研究倫理審査委員会承認番号 指023-0265)
