講演情報

[P-033]高齢者における「食べる力の評価質問票」の因子構造と信頼性の検討

○後藤 崇晴1、藤原 真治2、松田 岳1、岸本 卓大3、市川 哲雄4、渡邉 恵1 (1. 徳島大学大学院 医歯薬学研究部 口腔顎顔面補綴学分野、2. 美馬市国民健康保険木屋平診療所、3. 徳島大学大学院医歯薬学研究部 総合診療歯科学分野、4. 徳島大学)
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【目的】
 高齢者の栄養状態やフレイルには,咀嚼能力に加え,食品選択,調理方法,食環境などを含む包括的な「食べる力」が関与することが指摘されている。われわれが考案した「食べる力の評価質問票」1)は,こうした「食べる力」の包括的な評価を目的としているが,その因子構造や信頼性については十分に検討されていない。そこで本研究では,高齢者を対象に本質問票の因子構造と内的一貫性を明らかにし,「食べる力」を構成する要素を整理するとともに,今後の改訂の方向性を検討することを目的とした。
【方法】
 被検者は,美馬市国民健康保険木屋平診療所を定期的に受診している65歳以上の高齢患者62名とした。調査には,われわれが過去に報告した「食べる力の評価質問票」1)を用い,10項目に対して1〜4の4段階で回答を求め,得点が高いほど食べる力が強くなるように設定した。各項目の得点に対して探索的因子分析を行い,抽出された因子をもとに共分散構造分析を実施し,各因子とそれに含まれる質問項目との関係性を検討した。【結果と考察】
 質問項目の平均値は2.3〜3.5であった。因子分析の結果,4因子が抽出され,因子負荷量0.25以上の項目を採用したところ,各因子を「食事の楽しさ」,「摂食行動」,「調理の工夫」,「共食・嚥下への配慮」と解釈した。各因子のCronbachのα係数は0.49〜0.55であった。各因子と質問項目間の関係を共分散構造分析にて検討したところ,モデルの適合度は許容できるものであった。以上より,「食べる力の評価質問票」から4因子が抽出され,高齢者の「食べる力」が複数の側面から構成されることが示された。一方で,各因子のCronbachのα係数は十分とはいえず,内的一貫性の観点からは項目,尺度の改訂,被検者数の増加を含めたさらなる検討の必要性が示唆された。本研究で得られたモデルの適合度は許容できるものであり,本質問票は高齢者の食行動や食環境を評価する臨床・地域保健の場において,「食べる力」をスクリーニングするための基礎的評価ツールとして活用可能であると考えられた。
【文献】
1) 後藤崇晴,市川哲雄,藤原真治,小谷和彦,坂根直樹:高齢者の食べる力と咬合・口腔機能,日全身咬合会誌,31:10-14,2025.
(COI 開示:なし)
(国立病院機構京都医療センター倫理審査委員会:17-032)