講演情報
[P-038]特別養護老人ホーム入所高齢患者における口腔機能とフレイルティ・インデックスとの関連
○井上 義郎1,2、小宮山 貴将1、佐藤 瑛子1、関 大蔵1、大井 孝1,3、服部 佳功1 (1. 東北大学大学院歯学研究科 加齢歯科学分野、2. 医療法人祥義会 福島訪問歯科医院、3. 石巻赤十字病院 歯科)
【目的】口腔保健と表現型モデルを用いたフレイルとの関連は数多くの研究で明らかにされてきた。フレイルの重症度を評価するフレイルティ・インデックス (FI)に目を向けると、地域高齢者において現在歯数や主観的咀嚼能力などとの関連が限られた文献より報告されてきた。FIにて評価されるフレイルの重症化は、要介護高齢者において転倒骨折や肺炎発症などを通じて人生終盤のWell-beingを阻害するが、口腔保健との関連を検討した報告はほとんどない。本研究の目的は、特別養護老人ホーム入所高齢患者を対象に、多様な口腔保健指標とフレイルとの関連を検討することである。【方法】福島県内6つの特別養護老人ホームに入所中の高齢患者299名を対象とした。解析には、歯科介入の初回評価時に収集したデータを用いた。口腔保健指標は、口腔機能低下症の下位項目である舌苔付着度、口腔乾燥、咀嚼能力、舌圧、ODK (/ta/)、現在歯数の他、含嗽の可否、機能歯数、残根歯数を採取した。FIは高齢者施設向けに開発された30項目のFI (Tabue-Teguo M, et al. 2018)を用い、0 (軽度)から1 (重度)とした。共変量は年齢、性別、要介護度とした。統計解析は、口腔保健指標とFIとの関連を、施設をランダム切片としたマルチレベル線形回帰分析を用いて検討し, 偏回帰係数 (β)および95%信頼区間 (CI)を算出した。【結果と考察】対象者の平均年齢は88.8歳 (標準偏差: 7.4)であった。平均FIは施設間で有意な違いは認められなかった。口腔乾燥 (β, 0.026; 95%CI, 0.005-0.465), ODK/ta/ (β, -0.017; 95%CI, -0.025 to -0.009)、舌圧 (β, -0.003; 95%CI, -0.037 to -0.001)、機能歯数 (β, -0.001; 95%CI, -0.002 to -0.0002)、含嗽困難 (β, 0.075; 95%CI, 0.053-0.969)といった多様な口腔保健指標がFIと有意に関連していた。今後の研究では、歯科訪問診療の提供などを通じた口腔機能の維持がフレイル重症化予防に有効であるかを縦断的に検討する必要がある。(COI開示:なし, 東北大学大学院歯学研究科研究倫理委員会承認番号:2019-3-036)
