講演情報
[P-039]老人介護施設において歯科介入をきっかけに非経口摂取から経口摂取へと移行した症例
○正國 光一1、藤 亘太郎1、砂坂 ちさと1、迫田 敏1、松尾 浩一郎2 (1. 医療法人篤志会さこだ歯科、2. 東京科学大学大学院 地域・福祉口腔機能管理学分野)
【緒言・目的】
退院時に決定された食形態は,その後の食形態に大きな影響を及ぼす。しかし,施設入所後においては,経口摂取開始や食形態の変更に関する判断が困難である場合が多い。今回,病院退院時に非経口摂取であった患者に対し,訪問歯科診療において嚥下機能評価を実施し,経口摂取へ移行した症例を経験したため報告する。
【症例および経過】
症例は79歳,男性。既往に脳出血およびパーキンソン病を有する。2025年5月頃より抗パーキンソン病薬増量後に粗暴行為が出現した。8月に薬剤調整目的でA病院へ入院し,粗暴行為は消失したが,入院中に誤嚥性肺炎を発症した。胃瘻造設目的にB病院へ転院後,経口摂取の再開は行われず,10月に施設退院となった。
施設入所後,ケアマネジャーより口腔ケア目的で歯科訪問診療の依頼があり,初診時に本人および家族から経口摂取再開の強い希望が確認された。嚥下内視鏡検査(VE)を提案し同意を得て11月に実施した。VEでは少量の咽頭残留を認めたが,明らかな誤嚥は認めず,誤嚥リスクは低いと判断した。
これを踏まえ,ペースト食および強いとろみ水による昼食のみの経口摂取を開始し,咽頭残留に対しては水分との交互嚥下を指導した。その後,発熱や肺炎などの有害事象は認められず,12月には3食すべてを経口摂取へ移行した。
なお,本症例報告の発表については,患者本人および家族より文書による同意を得ている。
【考察】
本症例では,退院後に嚥下機能評価が行われていなかったが,訪問歯科診療でVEを実施し,安全に経口摂取を再開することが可能となった。経口摂取再開後,発語量の増加など意欲向上が認められ,QOL向上に寄与したと考えられた。
今後は本人の「形のある食事を摂取したい」という希望を踏まえ,再評価を行いながら段階的な食形態の向上を検討する予定である。一方で,口腔内は咬合支持が乏しく,新義歯製作を含めた歯科治療介入が必要であり,嚥下機能と口腔機能の両面からの包括的な対応が重要であると考えられた。
また,嚥下機能評価および食形態変更に際して,ケアマネジャーや施設スタッフと連携することで,迅速かつ安全な対応が可能であった。訪問歯科による嚥下機能評価は,経口摂取再開およびQOL向上に寄与する有用な手段であり,多職種連携の重要性が示唆された。
(COI 開示:なし)
(倫理審査対象外)
退院時に決定された食形態は,その後の食形態に大きな影響を及ぼす。しかし,施設入所後においては,経口摂取開始や食形態の変更に関する判断が困難である場合が多い。今回,病院退院時に非経口摂取であった患者に対し,訪問歯科診療において嚥下機能評価を実施し,経口摂取へ移行した症例を経験したため報告する。
【症例および経過】
症例は79歳,男性。既往に脳出血およびパーキンソン病を有する。2025年5月頃より抗パーキンソン病薬増量後に粗暴行為が出現した。8月に薬剤調整目的でA病院へ入院し,粗暴行為は消失したが,入院中に誤嚥性肺炎を発症した。胃瘻造設目的にB病院へ転院後,経口摂取の再開は行われず,10月に施設退院となった。
施設入所後,ケアマネジャーより口腔ケア目的で歯科訪問診療の依頼があり,初診時に本人および家族から経口摂取再開の強い希望が確認された。嚥下内視鏡検査(VE)を提案し同意を得て11月に実施した。VEでは少量の咽頭残留を認めたが,明らかな誤嚥は認めず,誤嚥リスクは低いと判断した。
これを踏まえ,ペースト食および強いとろみ水による昼食のみの経口摂取を開始し,咽頭残留に対しては水分との交互嚥下を指導した。その後,発熱や肺炎などの有害事象は認められず,12月には3食すべてを経口摂取へ移行した。
なお,本症例報告の発表については,患者本人および家族より文書による同意を得ている。
【考察】
本症例では,退院後に嚥下機能評価が行われていなかったが,訪問歯科診療でVEを実施し,安全に経口摂取を再開することが可能となった。経口摂取再開後,発語量の増加など意欲向上が認められ,QOL向上に寄与したと考えられた。
今後は本人の「形のある食事を摂取したい」という希望を踏まえ,再評価を行いながら段階的な食形態の向上を検討する予定である。一方で,口腔内は咬合支持が乏しく,新義歯製作を含めた歯科治療介入が必要であり,嚥下機能と口腔機能の両面からの包括的な対応が重要であると考えられた。
また,嚥下機能評価および食形態変更に際して,ケアマネジャーや施設スタッフと連携することで,迅速かつ安全な対応が可能であった。訪問歯科による嚥下機能評価は,経口摂取再開およびQOL向上に寄与する有用な手段であり,多職種連携の重要性が示唆された。
(COI 開示:なし)
(倫理審査対象外)
