講演情報

[P-040]歯科訪問診療において多職種連携で対応した薬剤関連顎骨壊死の1症例

○萩原 佳江1、大塚 晴奈1 (1. のだ歯科医院)
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【緒言・目的】
 薬剤関連顎骨壊死(MRONJ)は高齢者に多く、全身疾患や生活背景を考慮した長期的な管理が求められる疾患である。特に高齢者施設入所者では、急性期治療後に感染再燃の予防に加え、「食べることの継続」を支える視点が重要となる。今回、歯科訪問診療において多職種連携および家族の協力のもと、食事継続に寄与したMRONJ症例を経験したため報告する。
【症例および経過】
 患者は96歳女性。有料老人ホーム入所中。過去にMRONJと診断され、約1年前に高次医療機関口腔外科で外科的処置を受け、その後は経過観察となっていた。施設入所後、口腔ケア目的に当院歯科訪問診療が介入した。
 初診時には明らかな骨露出は認めなかったが、歯肉の発赤を認め、感染再燃リスクが懸念された。介入6か月後、発赤に加え排膿と口臭が増悪し、口腔外科を受診、抗菌薬投与が行われたが、食欲低下と下肢浮腫を認め、継続困難となった。そこで医科主治医、口腔外科主治医、介護職員、家族と情報共有を行い、全身状態や生活環境、食事状況を踏まえた対応方針を検討した結果、保存的対応を継続することとなった。また訪問による専門的口腔ケア回数を増やし、塩化セチルピリニジウム(CPC)含有洗口液を併用した口腔衛生管理の徹底、患部の洗浄を実施。その結果、開始から2週間で口臭軽減と経口摂取量の改善を認めた。患者は食事を好む方であったことから、家族の協力を得ながら食形態の助言を施設に行うなど食事支援を行った結果、炎症増悪を防ぎ経口摂取の継続に寄与した。
なお,本報告の発表について患者ご家族から同意を得ている。
【考察】
 自験例では、専門的口腔ケアと介護職員による継続的口腔ケアにより、排膿・発赤、腫脹・口臭が軽減、食事の継続につながった。特に慢性期MRONJ症例に対し、頻回な口腔衛生管理、患部洗浄、食事形態への助言を多職種で共有しながら継続したことが、口腔内不快症状の減少および経口摂取維持に寄与したと考えられた。MRONJ症例に限らず、高齢者慢性期医療では「治す」から「支えながらその人らしく生きる」視点が大切である。訪問診療においては、多職種連携による継続的口腔管理が生活の質の維持に寄与し、歯科が多職種連携の一員として継続的に関与し続けていく重要性が示唆された。
(COI 開示:なし)
(倫理審査対象外)