講演情報

[P-042]終末期摂食嚥下支援における家族の葛藤への心理的介入の一例

○加地 彰人1、福田 泉1 (1. 医療法人あき歯科医院)
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【緒言・目的】 在宅終末期の摂食嚥下支援において、経口摂取によるQOL(生活の質)の維持と誤嚥リスクの回避との間で,患者家族が強い心理的葛藤を抱える事例は少なくない。本報告では,歯科医師および公認心理師の複合的専門性を活かし,主介護者の心理的負担に対して介入した経過を示し,地域包括ケア(または地域連携医療)における心理支援の意義を考察することを目的とする。【症例および経過】 症例は,脳梗塞後遺症により重度嚥下障害を呈した70代女性。胃瘻造設後に在宅療養へ移行した。主介護者である配偶者は経口摂取の再開を強く希望する一方で,誤嚥に対する恐怖や強い責任感から心理的負担が顕著であった。医師,歯科医師,言語聴覚士,管理栄養士,訪問看護師からなる多職種チームと連携し,摂食嚥下支援と並行して主介護者への心理面接を実施した。具体的には,誤嚥リスクを過度に自己責任化する認知への介入,予期悲嘆へのケア、および多職種間の方針の差異から生じる心理的葛藤の調整を行った。【考察】 介入の結果,主介護者において「誤嚥=自身の失敗」という認知の緩和がみられ,実際の食事介助場面でも安定した対応が可能となった。結果として,患者は安全性に配慮しながら終末期まで味覚刺激を享受でき,主介護者も「最善を尽くした」という納得感をもって看取りに至った。終末期の摂食嚥下支援において,家族の心理的葛藤に介入する視点を歯科医療に統合することは,患者のQOL向上と家族のグリーフケアの双方に寄与し、地域連携医療の質的向上において極めて重要であると示唆された。(COI 開示:なし) (倫理審査対象外)