講演情報

[P-044]訪問内科医と連携して訪問診療で対応した聴覚障害を有する典型的三叉神経痛患者の1症例

○間宮 秀樹1、太田 桃子1、小野 洋一1、菊地 幸信1、平野 昌保1、宮田 保之1、平山 勝徳1、秋元 宏恵1、西尾 純平1、杉山 美帆1、東澤 雪子1 (1. 藤沢市歯科医師会)
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【緒言・目的】
 三叉神経痛は特徴的な所見のため診断が容易なことが多いが,患者からの痛みの聞き取りが困難な場合には他疾患と間違われる場合もある.また,薬物治療継続時には肝機能や白血球数の定期的なチェックも必要である.今回,歯痛として治療されていた聴覚障害者の三叉神経痛に対して,訪問内科医と連携して対応した症例を経験したので報告する.なお本報告は文書による同意を本人から得ている.
【症例および経過】
 83歳の女性.突発性難聴のため両側の聴力が無いが,発語は可能である.他に腰部脊柱管狭窄症,高血圧症があり,訪問内科医により腰痛に対して消炎鎮痛薬,神経因性疼痛治療薬ミロガバリンタシル酸塩等が処方されていた.約4年前,開口時に左側下顎に「ピリっとした痛み」を認めたため歯科を受診し,「原因不明の歯痛」および「くいしばり」のため消炎鎮痛薬投与およびマウスピース装着を受けていた.症状は緩解と再発を繰り返していたが,最近増悪し,本人の移動が困難になってきたため訪問診療となった.初診時の医療面接では,質問はノートに記載して提示し,本人は口頭で返答した.聞き取りに時間を有したが,主訴は「食事や会話時にピリッとした強い痛みがあり,数秒で治まる」ことで,痛みが片側性で不応期があり,他の感覚異常が無く,口腔内にも異常所見がないことから典型的三叉神経痛が疑われた.年齢および移動の困難さから薬物治療が適当と考え,カルバマゼピン200mg/日を分3で投与開始した.数日で劇的な疼痛消失を認めたため典型的三叉神経痛と診断した.カルバマゼピン投与後に傾眠傾向を認め,転倒の危険があったため,訪問内科医にミロガバリンタシル酸塩減量を依頼した.さらに副作用把握のため,定期的な血液検査を依頼した.現時点では体調変化は認めず,三叉神経痛のコントロールも良好である.
【考察】
 今回,筆談による医療面接により三叉神経痛が強く疑われ,カルバマゼピン投与により疼痛消失を認めたため診断に至った.本来はMRI撮影等による原因精査が必要であるが,患者は疼痛消失に満足し,また移動が困難のため,受診には消極的である.一方,カルバマゼピン長期間の投与による副作用については訪問内科医に体調管理を依頼できたため,安全な投薬が継続できていると考えられた. (COIなし)(倫理審査対象外)