講演情報
[P-052]医科受診患者における歯科の定期受診を妨げる要因
○細入 枝里1、髙澤 理奈1、山﨑 菜々子1、服部 馨1、久野 彰子1 (1. 日本医科大学付属病院 口腔科)
【目的】
厚生労働省が推進する「健康日本21」では歯科定期受診の重要性が示されているが,医科受診中の患者には歯科治療が必要な状態でありながら未受診の者が多く,その要因は明確ではない。本研究は,医科受診患者の歯科定期受診の有無と受診行動を阻害する要因を明らかにすることを目的とした。
【方法】
2025年4月から10月までに医科病院内の当科を受診した患者を対象とした。当科は周術期等口腔機能管理や医科から紹介される院内患者の診療を担っており,対象者全員が有病者である。初診時の問診から対象者を定期受診群と未受診群に分類し,未受診群の受診阻害要因は自由回答で聴取した。また,歯科医師の診査に基づき,両群の歯数と要治療歯の有無を比較した。要治療歯は,う蝕・動揺3度・補綴物等の脱離・歯の破折とした。
【結果と考察】
対象者910名(男性480名,女性430名,平均年齢66.5歳)のうち,定期受診群340名,未受診群570名であった。平均歯数は定期受診群22.2本,未受診群20.4本と,未受診群で有意に少なかった(p<0.05)。要治療歯を有する者は定期受診群93名,未受診群307名と,未受診群で有意に高かった(p<0.05)。
未受診群の受診阻害要因で最も多いのは「症状が出ていないため受診しない」256名で,予防概念の欠如による症状依存型の受診行動であった。次いで,「病気療養や体力低下などの身体的理由」111名,「通院環境の変化」40名,「歯科恐怖症・嫌悪」33名,「かかりつけ歯科がない」33名,「医療側との関係性悪化」31名などであった。
これらの結果から,歯科定期受診は口腔健康維持に効果的であるが,未受診の有病者が多く,背景に多様な要因が関与していることが明らかとなった。特に症状依存型の受診行動が突出して多く,予防的受診の概念が十分に浸透していないことが示唆された。また,有病者では病気療養や体力低下など身体的制約が受診継続の大きな障壁となっていた。さらに,通院環境の変化や医療側との関係悪化など,医療側の要因も一定数みられた。これらより,医科受診患者の歯科受診を促進するには,歯科の予防概念の普及,身体的制約への配慮,地域と連携した通院環境の整備,医療者との信頼関係構築が重要と考えられた。(COI開示:なし) (日本医科大学 倫理審査委員会承認番号 M-2025-450)
厚生労働省が推進する「健康日本21」では歯科定期受診の重要性が示されているが,医科受診中の患者には歯科治療が必要な状態でありながら未受診の者が多く,その要因は明確ではない。本研究は,医科受診患者の歯科定期受診の有無と受診行動を阻害する要因を明らかにすることを目的とした。
【方法】
2025年4月から10月までに医科病院内の当科を受診した患者を対象とした。当科は周術期等口腔機能管理や医科から紹介される院内患者の診療を担っており,対象者全員が有病者である。初診時の問診から対象者を定期受診群と未受診群に分類し,未受診群の受診阻害要因は自由回答で聴取した。また,歯科医師の診査に基づき,両群の歯数と要治療歯の有無を比較した。要治療歯は,う蝕・動揺3度・補綴物等の脱離・歯の破折とした。
【結果と考察】
対象者910名(男性480名,女性430名,平均年齢66.5歳)のうち,定期受診群340名,未受診群570名であった。平均歯数は定期受診群22.2本,未受診群20.4本と,未受診群で有意に少なかった(p<0.05)。要治療歯を有する者は定期受診群93名,未受診群307名と,未受診群で有意に高かった(p<0.05)。
未受診群の受診阻害要因で最も多いのは「症状が出ていないため受診しない」256名で,予防概念の欠如による症状依存型の受診行動であった。次いで,「病気療養や体力低下などの身体的理由」111名,「通院環境の変化」40名,「歯科恐怖症・嫌悪」33名,「かかりつけ歯科がない」33名,「医療側との関係性悪化」31名などであった。
これらの結果から,歯科定期受診は口腔健康維持に効果的であるが,未受診の有病者が多く,背景に多様な要因が関与していることが明らかとなった。特に症状依存型の受診行動が突出して多く,予防的受診の概念が十分に浸透していないことが示唆された。また,有病者では病気療養や体力低下など身体的制約が受診継続の大きな障壁となっていた。さらに,通院環境の変化や医療側との関係悪化など,医療側の要因も一定数みられた。これらより,医科受診患者の歯科受診を促進するには,歯科の予防概念の普及,身体的制約への配慮,地域と連携した通院環境の整備,医療者との信頼関係構築が重要と考えられた。(COI開示:なし) (日本医科大学 倫理審査委員会承認番号 M-2025-450)
