講演情報

[P-054]人工膝関節置換術予定患者における身体機能と口腔機能の関係

○本釜 聖子1、武田 紗季1 (1. 愛媛大学医学部附属病院歯科口腔外科・矯正歯科)
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【目的】
 わが国は高齢社会となって久しく,平均寿命は延びているものの,その一方で運動機能が衰え要介護となる人は多い。身体的フレイルの1つである運動器障害である関節疾患は著しくQOLを低下させる。本研究の目的は,愛媛大学医学部附属病院にて人工膝関節置換術を予定している患者の口腔機能と身体機能の関係を明らかにすることである。
【方法】
 当院整形外科を2023年8月から2025年9月までの間に受診した患者で,人工膝関節置換術を予定している成人206名(男性45人,女性161人,平均年齢75.2±9.1歳)を対象とした。身体機能測定項目は,BMI,握力,SMI,開眼片脚起立時間,3m timed up-and-goテスト(TUG),日常生活自立度評価,2ステップテストとした。口腔不潔は視診による舌苔スコア,口腔乾燥は口腔水分計ムーカスによる口腔湿潤度,咬合力は残存歯数,舌口唇運動機能はオーラルディアドコキネシス,低舌圧は最大舌圧,咀嚼機能はグミゼリーを用いたグルコース溶出量,嚥下機能はEAT-10とし,口腔機能と身体機能の関連性について検討した。
【結果と考察】
 口腔機能低下症は41.7%に認めた。運動器不安定症は,日常生活自立度ならびに,運動機能が開眼片脚起立時間15秒未満またはTUG11秒以上を該当としたところ,82.0%に認めた。口腔機能低下症と運動器不安定症は統計学的に有意に関連していた。口腔機能低下症が運動器不安定症,BMI低下,握力低下,SMI低下,2ステップテストに関連するか,年齢(75歳未満,75歳以上)と性別を調整因子としてロジスティック回帰モデルを用いて評価したところ,握力低下(p<0.001)に対して有意な関連を認めた。さらに,握力低下に対し、口腔機能各項目との関連を検討したところ,口腔乾燥,舌口唇運動機能,/pa/,/ta/,/ka/,低舌圧が統計学的に有意な関連を認めた。本研究の結果より,人工膝関節置換術予定患者において,口腔機能低下症は運動器不安定症と握力低下に対して関連を示した。さらに,握力低下は,低舌圧,舌口唇運動機能低下,口腔乾燥と関連していたことから,人工膝関節置換予定患者に対し、術後だけでなく,術前からの口腔機能管理の必要性が示唆された。
(COI開示:なし)
(愛媛大学 倫理審査委員会承認番号 2110014号)