講演情報

[P-057]介護保険施設入所高齢者における歯科訪問診療の中断と食形態低下との関連

○大日方 雪乃1,2,7、宮下 直也1,2,7、鰕原 賀子2、高橋 賢晃1,2、菊谷 武1,2、水谷 慎介3、佐藤 美寿々4、中川 量晴5、釘宮 嘉浩6、三浦 和仁7、玉田 泰嗣7、渡邊 裕7、平野 浩彦8,9,10 (1. 日本歯科大学口腔リハビリテーション多摩クリニック、2. 日本歯科大学附属病院 口腔リハビリテーション科、3. 九州大学大学院歯学研究院附属OBT研究センター、4. 北海道大学 大学院歯学研究院予防歯科学教室、5. 東京科学大学大学院医歯学総合研究科 摂食嚥下リハビリテーション学分野、6. 国立長寿医療研究センター歯科口腔外科部、7. 北海道大学 大学院歯学研究院 口腔健康科学分野 高齢者歯科学教室、8. 東京都健康長寿医療センター病院歯科口腔外科、9. 東京都健康長寿医療センター研究所自立促進と精神保健研究チーム、10. 東京都健康長寿医療センターフレイル予防センター)
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【目的】
 本研究の目的は歯科訪問診療の中断と介護保険施設入所要介護高齢者の食形態の低下との関連を検討することである。
【方法】
 日本老年歯科医学会が2019年度に実施した介護保険施設30か所の入所要介護高齢者の調査に参加した入所者986名に対して、2021年度に追跡調査を行った。追跡調査の内容は転帰、食形態の状態、COVID-19感染拡大後の歯科訪問診療の継続状況ついて調査を実施した。分析は2年間の食形態の低下(常食から嚥下調整食への低下)と関連する要因を検討するため、食形態の低下を目的変数とし、説明変数は、年齢、性別、Body Mass Index、Bathel Index、Clinical Dementia Rating、肺炎の既往の有無、口腔衛生管理加算に関するサービスの提供の有無、COVID-19感染拡大による歯科訪問診療の継続、中断、再開と、既往歴とした。
【結果と考察】
 2019年時点で嚥下調整食を摂取していた者、追跡中に退所した者、データ欠損のある者を除く520名が分析対象者となった。2年間の観察期間中に食形態が低下した者は102名(19.6%)であった。食形態の低下を目的変数とした二項ロジスティック回帰分析の結果、食形態の低下と有意な関連がみられたのは、Barthal Index(Odds Ratio(OR): 0.97、95%Confidence Interval(95%CI): 0.95-0.98)、口腔衛生管理加算サービスの実施(OR : 0.25、95%CI : 0.14-0.45)、歯科訪問診療の中断(2021年度の調査時点で歯科訪問診療が再開されていなかったもの)(OR: 7.53、95%CI:3.54-16.0)、肺炎の既往(OR: 0.37、95%CI:0.14-0.96)であった。本研究結果は歯科訪問診療の中断が介護保険施設入所者の食形態の低下、すなわち摂食嚥下機能の低下と関連していることを示唆した。このことから、介護保険施設入所要介護高齢者に対する歯科訪問診療では、食形態、摂食嚥下機能の維持改善を目標に継続的に実施する必要があると考える。
(倫理審査委員会承認番号:日本老年歯科学会倫理委員会(2018-1、2019-3)、北海道大学大学院歯学研究院臨床・疫学研究倫理審査委員会(2020-4))