講演情報

[P-067]要介護高齢者の義歯使用の有無およびその形態と家族介護者の介護負担過重との関連

○岸 さやか1、山口 哲史2、小宮山 貴将2、猪狩 洋平2、田中 恭恵2、伊藤 佳彦2、伊藤 有希2、内ケ崎 一徹2、黒田 雅博2、佐藤 全弘2、関 大蔵2、佐藤 瑛子2、佐藤 萌恵2、柴崎 陵2、岡橋 美奈子1、阿部 吏芳1、小牧 健一朗3、成田 憲司1,3、小菅 玲3、服部 佳功2 (1. (一社)仙台歯科医師会 在宅訪問・障害者・休日夜間歯科診療所、2. 東北大学大学院歯学研究科加齢歯科学分野、3. (一社)仙台歯科医師会)
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[目的]
 在宅療養において,家族介護者の役割は重要である。しかし,要介護者に対して行う様々な生活介助は家族介護者の介護負担感を増大させ,過重な介護負担は家族介護者の健康を害し要介護者の状態にも悪影響を与えることが報告されている。歯科領域では義歯の管理や口腔ケア介助が介護負担感を増加させる可能性があるが,義歯の種類による影響の違いなど詳細は不明である。そこで本研究では,在宅要介護者の義歯使用の有無とその形態,および口腔健康状態と,その家族が感じる介護負担感との関連を横断的に検討した。
[方法]
 対象は仙台歯科医師会による在宅歯科訪問診療を利用する65歳以上の患者とその家族介護者とした。家族の介護負担測定には短縮版Zarit介護負担尺度日本語版を用い,負担過重の基準である13点を閾値として2群化した。要介護者の口腔保健指標には,義歯使用の有無とその形態を「義歯なし」「総義歯のみ」「部分床義歯のみ」「総義歯と部分床義歯の併用」の4群に分類した変数と,口腔健康状態(Oral Health Assessment Tool : OHAT)を用いた。家族介護者の負担過重発生と義歯使用の有無とその形態との関連について,認知症の有無等を共変量としたロジスティック回帰分析を用いて検討した。なお,多重共線性を避けるため現在歯数はモデルに投入しなかった。
[結果と考察]
 解析の対象者は117名(83.9±7.6歳)であった。多重ロジスティック回帰分析の結果,「義歯なし」群と比較して,「部分床義歯のみ」群(p=0.013, OR=4.85)は介護負担過重と有意に関連していた。一方,「総義歯のみ」群(p=0.077, OR=0.13)は負担が低い傾向を認めた。また,認知症(p=0.031)やOHAT(p=0.026)も有意な関連因子であった。部分床義歯のみの使用者が最も負担過重リスクが高く,逆に総義歯のみの使用者は負担が低い傾向が示されたことから,クラスプの着脱や残存歯の管理といった補綴装置の構造的な複雑さが,家族介護者の負担を増大させる可能性が示唆された。
(COI開示:なし)
(東北大学大学院歯学研究科研究倫理委員会承認番号:2020-3-030)