講演情報

[P-068]漢方薬Danshenの投与が2型糖尿病モデルマウスの唾液腺機能に与える影響

○尾﨑 雅歩1、宗政 翔1、野代 知孝1、向坊 太郎1、近藤 祐介1、細川 隆司1、正木 千尋1 (1. 九州歯科大学口腔再建補綴学分野)
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【目的】
 2型糖尿病の有病率は65歳以上で特に高く,口腔乾燥症を併発することも少なくない。口腔乾燥症は,二次カリエスの発生や歯周病の増悪,嚥下障害などを引き起こすリスクとなるため,治療法の確立が急がれている。唾液分泌機能の維持には水チャネルタンパクAquaporin-5の発現調節や唾液腺血流動態が重要であることが報告されている。さらに,生薬であるTansinolはAquaporin-5の発現に関わることが報告されている。そこで本研究ではTansinolを多く含む漢方薬Danshenの糖尿病における唾液分泌機能の効果を2型糖尿病モデルマウスKK-Ayを用いて検討することを目的とした。
【方法】
 実験にはオスの2型糖尿病モデルマウスKK-Ayを使用した。7週齢のKK-Ayにコントロール群には通常の水を,実験群にはDanshenの懸濁液をそれぞれ3週間自由摂取により経口投与し,10週齢で各種評価を実施した。Ex vivo唾液腺灌流実験では,摘出した顎下腺および舌下腺をコリン作動薬であるカルバコール0.3 µMで刺激し、唾液分泌量を測定した。また,in vivo唾液分泌実験では,ピロカルピン10 mg/kgを腹腔内投与し,顎下腺,舌下腺,耳下腺からの唾液分泌機能を評価した。統計にはStudent’s t-testを用い,p < 0.05を有意とした。
【結果と考察】
 血糖値についてはコントロール群と実験群の間に有意差は認められなかった。体重は実験群で減少傾向を示したが,統計学的有意差には至らなかった。また,唾液腺重量は,顎下腺,舌下腺および耳下腺のいずれにおいても群間差を認めなかった。Ex vivo唾液腺灌流実験における唾液分泌量は,顎下腺および舌下腺のいずれにおいても群間差を認めなかった。一方,in vivo唾液分泌実験では,舌下腺からの唾液分泌量に差はなかったものの,実験群の顎下腺および耳下腺からの唾液分泌量は,それぞれ約163.7%,約150.0%有意に増加した。以上より,Danshenの投与は唾液腺自体の分泌能を直接的に増強する作用は限定的である一方,血流改善作用や自律神経機能への影響など,全身性の作用機序を介して唾液分泌反応を増強する可能性が示唆された。

(COI 開示:なし)
(九州歯科大学 動物実験委員会承認番号 25-12)