講演情報
[P-072]咬筋の老化とオートファジーの関連を探索する
○加藤 禎彬1、星野 照秀2,1、橋本 菜央1、菅原 圭亮1、片倉 朗1 (1. 東京歯科大学 口腔病態外科学講座、2. 東京都立病院機構東京都立豊島病院歯科口腔外科)
【目的】オーラルフレイルは新しい概念とチェックリストが提唱されてから早期発見と予防に関してさらに注目を集めている.私たちはオーラルフレイルの臨床的な予防法の確立に合わせてその根拠となる口腔周囲筋のサルコペニアに対する病態解明と対策が必要と考え, これまで基礎的研究を行ってきた.老齢マウス咬筋を用いて老化関連代謝物を探索した結果,下肢の筋肉と比較して特徴的にSpermidineの発現の上昇を確認した(Y. Kato, T. Hoshino, et al. IJMS, 2024).Spermidineは細胞の増殖やタンパク質・核酸合成に関与し,オートファジーへの関連が報告されている. 今回われわれは,咬筋の老化とオートファジーの関連を探索することを目的に研究を行った.【方法】実験動物は老化促進モデルマウス(SAM)を用いた.SAM-R1(対照群)とSAM-P8(老化群)を12週齢(若齢期),40週齢(老齢期), 55週齢(老齢後期)まで飼育し,各週齢で咬筋を採取した.評価項目は体重, 筋湿重量、オートファジー経路の関連物質(p62/SQSTM1,Beclin-1,LC-3a,LC-3b)の発現とした.発現解析はReal-time PCR法を用い,群間および週齢間で比較した.統計解析はt検定、Tukey検定を用いた.(東京歯科大学動物委員会 承認番号:252602)【結果と考察】SAM-P8の結果をSAM-R1と比較したところ,体重は老化に伴って有意に低下を認めた.筋湿重量は40週齢まで変化は認めなかったが,55週齢で有意な減少を認めた. オートファジー関連物質の発現解析は12週齢でLC-3b,40週齢でp62/SQSTM1,Beclin-1の発現の低下を認めた.SAM-P8の週齢比較ではオートファジー関連物質の発現に有意な変化は認めなかった.SAM-P8において週齢間でオートファジー関連物質の発現に有意な変化を認めなかったことから咬筋組織におけるオートファジーは老化でも維持されている可能性がある.一方で群間比較において変動を認めたp62/SQSTM1,Beclin-1は老化した咬筋組織におけるオートファジーの変化を把握するのに重要な物質であることが推察された.今後は免疫組織化学的染色における局在の確認や他のオートファジー関連物質の変動も追加で検討していきたい.(倫理審査対象外)
