講演情報

[P-073]マウス顎下腺における加齢関連唾液代謝プロファイルの検討

○合田 実1、向坊 太郎1、野代 知孝1、宗政 翔1、近藤 祐介1、細川 隆司1、正木 千尋1 (1. 九州歯科大学口腔再建補綴学分野)
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【目的】
高齢者における唾液分泌量および唾液性状の変化は,口腔乾燥症や口腔機能低下を通じて,摂食嚥下機能や口腔健康の維持に大きく影響する。本研究では,体外灌流マウス顎下腺モデルを用いて,唾液腺組織と分泌唾液に含まれる代謝物の関連性を明らかにするとともに,年齢および性別に関連した唾液代謝プロファイルの変動を調査し,高齢者における口腔乾燥症の基盤的知見を得ることを目的とした。
【方法】
若齢成体(13週齢)および成熟成体(120週齢)の雄および雌マウスから顎下腺を単離し,総頚動脈から灌流した。コリン作動性刺激およびβアドレナリン作動性刺激により分泌された唾液を回収した。腺組織および分泌唾液中の代謝物は,キャピラリー電気泳動―飛行時間型質量分析法 (CE–TOFMS)を用いて網羅的に解析した。
【結果と考察】
腺組織および唾液の両方において,多様な親水性低分子代謝物が検出された。主成分分析の結果,腺組織メタボロームでは加齢に関連した分布傾向が認められた。個々の代謝物については,老齢マウスの唾液においてグルタチオンおよびタウリンの濃度低下が観察された。これらの抗酸化物質の減少は,加齢に伴う酸化ストレス防御機能の低下を反映している可能性がある。一方,腺組織と唾液の間で異なる変動様式を示す代謝物も確認され,腺組織内での代謝状態と唾液中への分泌挙動が必ずしも一致しないことが示された。加齢に伴い,唾液腺組織内の代謝物濃度と実際に分泌される唾液中の代謝物濃度が異なる変動を示すことが,高齢期における唾液性状の変化に関与している可能性が示唆された。本研究は,唾液メタボロミクス解析を老年歯科領域に応用する際に,唾液分泌量のみならず分泌組成の質的変化を評価する重要性を示すものであり,高齢者における口腔乾燥症や加齢性口腔機能低下の病態理解に向けた基盤的知見を提供することが示唆された。
(COI開示:なし)
(九州歯科大学動物実験委員会承認番号 19-027)