講演情報

[P-076]歯科衛生士が多職種連携のハブとなり口腔機能の改善を認めた口角がん患者への周術期口腔管理

○佐藤 瞳1、三上 理沙子1,2、宮島 沙紀1,2、水野 留理子1、石井 萌子1、加藤 夢乃1、吉田 奈永1、田中 美咲1,2、日高 玲奈1,2、岡田 光純3、松尾 浩一郎1,2 (1. 東京科学大学病院オーラルヘルスセンター、2. 東京科学大学大学院医歯学総合研究科地域・福祉口腔機能管理学分野、3. 東京科学大学大学院医歯学総合研究科高齢者歯科学分野)
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【緒言・目的】
 高齢者の頭頸部がん患者では,口腔機能低下が生じることが多く,多職種連携による包括的介入が不可欠である。歯科衛生士(DH)が多職種連携の調整役を担い,口腔衛生管理および摂食嚥下機能の改善と退院後支援の継続に寄与した一例を報告する。
【症例および経過】
 81歳,男性。左口角有棘細胞がんに対して下顎区域切除,有茎大胸筋皮弁およびプレート再建術を施行した。術後,安静度制限および創部腫脹に伴う口腔衛生管理困難および口唇閉鎖不全・舌挙上不全による摂食嚥下障害に関する課題が認められた。
 DHはセルフケア困難性を評価し,その情報を看護師と共有した上で,患者に対して段階的に口腔衛生指導を行った。術42日後より開始された放射線治療により口腔乾燥が生じたため,口腔保湿剤の指導を行った。
 摂食嚥下障害に対して術9日後より言語聴覚士(ST)が介入を開始した。口唇閉鎖不全と舌挙上困難のため唾液嚥下障害を認め,流涎を呈していた。術21日後の嚥下内視鏡検査では,唾液の喉頭侵入と左声帯麻痺を認め,誤嚥リスクが高く経口摂取は困難であった。DHはSTと評価を共有し,STによる直接嚥下訓練に加え,DHによる舌および口唇の可動域訓練,舌抵抗訓練を行った。また,家族にも指導を行い,在宅でも継続可能な口腔機能管理体制を整えた。
 術35日後にペースト食で経口摂取を開始し,術76日後には全粥摂取が可能となり,術112日後に退院となった。舌圧は術63日後に10.4 kPaであったが,術101日後には19.5 kPaへ向上し,退院時には流涎の減少など口唇閉鎖機能の改善を認めた。
 退院後は外来通院を希望していることをDHが聴取したため,その意向を主治医に共有するとともに,摂食嚥下リハビリテーション外来への通院調整を行った。現在も外来でのフォローが継続されている。
 なお,本報告の発表について患者本人から文書による同意を得ている。
【考察】
 本症例では,DHが多職種との情報共有と介入調整を担うことで,各職種による支援が円滑に進み,口腔機能改善に寄与したと考えられる。また,DHが患者の意向を踏まえて医科と歯科をつなぐ役割を果たしたことで,患者中心の支援体制の構築に貢献した。DHが多職種連携の調整役を担うことは,継続的な支援につながる可能性が示唆された。(倫理審査対象外)(COI開示:なし)