講演情報

[P-078]口腔保健指標とマルチモビディティの関連について:大迫研究

○関 大蔵1、小宮山 貴将1、村上 任尚1,2、大井 孝1,3、山口 哲史1、大久保 孝義4、服部 佳功1 (1. 東北大学大学院歯学研究科加齢歯科学分野、2. 東北医科薬科大学医学部衛生学公衆衛生学教室、3. 石巻赤十字病院・歯科、4. 帝京大学医学部衛生学公衆衛生学講座)
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【目的】近年、マルチモビディティ(同一個体において、2つ以上の慢性疾患が併存している状態)は、医療・社会システムを脅かす重要な健康課題である。高齢化が進むわが国では、疾患発症前の段階から中年期を起点とした対策が強く求められている。現在歯数や歯周病などの口腔保健指標と全身状態との関連は広く知られているものの、マルチモビディティとの関連を検討した研究はほとんどない。以上より本研究の目的は、地域一般住民を対象に歯周病状態とマルチモビディティとの関連を調査することとした。【方法】 2005年~2016年に、岩手県花巻市大迫地区で実施された医科歯科検診を受診した50歳以上の一般住民を対象とした横断研究を行った。曝露因子は、AAP/EFP分類に準じた歯周病評価とし、現在歯数2歯未満は除外した。StageⅠ:クリニカルアタッチメントロス(CAL)の最大値が1-2 mm、StageⅡ:CAL最大値が3-4 mm、StageⅢ:CAL最大値が5 mm以上かつ現在歯数20歯以上、StageⅣ:CAL最大値が5 mm以上かつ現在歯数20歯未満と定義した。アウトカムはマルチモビディティとし、対象疾患は家庭血圧の実測値を用いた高血圧、脳血管疾患、心疾患、糖代謝異常、脂質異常症とした。有病率比(prevalence ratio:PR)、95%信頼区間(CI)をロバスト分散を用いた修正ポアソン回帰により算出した。共変量は年齢、性別、教育歴、喫煙、飲酒、調査年度とした。【結果と考察】 解析対象者は710名(平均年齢66.6歳±7.2)で、345名がマルチモビディティを有していた。StageⅠが1名、StageⅡが180名、StageⅢが268名、StageⅣは261名であった。ポアソン回帰分析の多変量モデルにおいて、StageⅠ・Ⅱ群と比較すると、StageⅢ群はマルチモビディティの有病率が有意に高値を示した。StageⅣ群は有意な関連を認めなかった。高度な歯周組織破壊を有しつつ歯が比較的多く残存している群でリスクが高かったことについては、歯周病に伴う炎症効果が一因である可能性が考えられる。今後は、本研究で推察された因果関係の検証を目的とする縦断調査が求められる。(COI開示:なし)(東北大学東北メディカル・メガバンク機構倫理委員会:2025-4-119)