講演情報

[P-082]高齢者施設入居中の歯科治療に非協力的な歯肉増殖症患者に対し歯科衛生士主体の介入が奏功した一例

○是本 夕華1、樋口 和徳1、山城 満喜子1、首藤 崇典1、相羽 珠緒1、宮田 由紀子1、松尾 浩一郎2 (1. みんなの歯医者さん、2. 東京科学大学大学院医歯 学総合研究科生命理工医 療科学専攻口腔保健学講 座地域福祉口腔機能管理 学分野教授)
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【緒言・目的】
高齢者では歯科診療に対する不信感や恐怖心から治療を拒否し,必要な歯科治療が困難となる場合がある。また,歯科治療は身体的・心理的負担となることが多く,侵襲性の低い処置から段階的に介入することが重要である。本症例では,歯科治療に非協力的であった高齢者施設入居中の歯肉増殖症患者に対し,歯科衛生士主体の継続的な専門的口腔衛生管理により信頼関係を構築し,歯周治療,抜歯,義歯装着へと至った経過を報告する。
【症例および経過】
89歳女性。高齢者施設入居中で高血圧症,認知症,狭心症等を有し,アムロジピンを含む降圧薬を服用していた。障害高齢者の日常生活自立度A2,認知症高齢者の日常生活自立度Ⅲa,HDS-R4点で常食を摂取していた。介護スタッフより口腔内異常を指摘され歯科訪問診療を開始した。初診時,重度の薬物性歯肉増殖,歯の動揺,排膿,口臭,歯肉出血を認めたが,歯科治療への不信感が強く治療を拒否したため,歯科衛生士による月4回の口腔衛生管理から介入した。継続的なコミュニケーションと専門的口腔衛生管理を行った結果,口腔への関心が高まり,歯周治療,抜歯および義歯作製へと段階的に移行することができた。現在も常食摂取を維持している。なお,本症例は本人の文書同意を得て実施した。
【考察】
歯科治療に非協力的であった本症例において,歯科衛生士主体で侵襲性の低い専門的口腔管理と継続的なコミュニケーションを行うことで信頼関係が構築され,治療への参加意欲が向上し,歯周治療,抜歯および義歯作製へと段階的に介入を進め,現在でも常食摂取を継続できている。非協力的高齢者に対しては,歯科衛生士による初期介入を基盤とした段階的アプローチが有効であると考えられた。

COI開示:なし
倫理審査対象外