講演情報
[P-083]電動歯ブラシを用いた訪問歯科衛生指導により口腔清掃状態の改善を認めた介護施設入居者の一症例
○宮田 由紀子1、山城 満喜子1、相羽 珠緒1、是本 夕華1、首藤 崇典1、松尾 浩一郎2、樋口 和徳1 (1. みんなの歯医者さん、2. 東京科学大学大学院地域・福祉口腔機能管理学分野)
【緒言・目的】
介護施設入居者の多くは巧緻性や筋力の低下により,手用歯ブラシによるセルフケアのみでは十分なプラークコントロールが困難となる場合がある。電動歯ブラシは,手指の巧緻性が低下した患者においても使用しやすい清掃補助機器の一つであり,操作技術の差を補完できる可能性があるが,歯科訪問診療における有用性の報告は少ない。本症例では,手用清掃器具で清掃状態の改善が得られなかった入居者に対し,電動歯ブラシを導入した訪問歯科衛生指導を実施し,その経過を検討した。
【症例および経過】
S介護付有料老人ホームに入居する89歳男性,HDS-R 21点。手用歯ブラシによるセルフケアを1日3回実施していたが,歯頸部および歯間部を中心に清掃不良を認めた。音波式電動歯ブラシ(フィリップス ソニッケアー2100)を2か月間貸与し,週1回の訪問歯科衛生指導を行った。使用頻度は1日3回,1回2分以上とし,本人が磨き終わったと認識した時点で終了とした。評価指標として,同一歯科衛生士がBOPおよびPCRを手用清掃器具使用時と電動歯ブラシ使用開始1週間後,1か月後,2か月後に測定した。手用歯ブラシ使用時,歯頸部および歯間部に食渣,プラークおよび歯肉炎を認め,BOP45.0%,PCR74.0%であった。TBIを行ったが歯間ブラシの使用,歯面へのブラシの当て込みが困難であった。電動歯ブラシ使用開始後,使用法を中心に訪問歯科衛生指導を行った結果,PCRの値に一時的な増加がみられたが,指導を重ねるにつれて徐々に改善し,2か月間でBOP4.9%,PCR53.7%まで改善した。なお,本症例報告は本人および施設管理者から文書による同意を得て実施した。
【考察】
本症例では,電動歯ブラシ導入と定期的な訪問歯科衛生指導の併用により,歯肉炎およびプラーク付着率の改善を認めた。本報告は,単例であり対照を設けていないため,TBI自体の効果を完全に除外することはできないが,巧緻性低下を有する高齢者のセルフケアの手段として,電動歯ブラシと訪問歯科衛生指導の併用が有用である可能性を示唆する一例となった。
(COI開示:なし)
(倫理審査対象外)
介護施設入居者の多くは巧緻性や筋力の低下により,手用歯ブラシによるセルフケアのみでは十分なプラークコントロールが困難となる場合がある。電動歯ブラシは,手指の巧緻性が低下した患者においても使用しやすい清掃補助機器の一つであり,操作技術の差を補完できる可能性があるが,歯科訪問診療における有用性の報告は少ない。本症例では,手用清掃器具で清掃状態の改善が得られなかった入居者に対し,電動歯ブラシを導入した訪問歯科衛生指導を実施し,その経過を検討した。
【症例および経過】
S介護付有料老人ホームに入居する89歳男性,HDS-R 21点。手用歯ブラシによるセルフケアを1日3回実施していたが,歯頸部および歯間部を中心に清掃不良を認めた。音波式電動歯ブラシ(フィリップス ソニッケアー2100)を2か月間貸与し,週1回の訪問歯科衛生指導を行った。使用頻度は1日3回,1回2分以上とし,本人が磨き終わったと認識した時点で終了とした。評価指標として,同一歯科衛生士がBOPおよびPCRを手用清掃器具使用時と電動歯ブラシ使用開始1週間後,1か月後,2か月後に測定した。手用歯ブラシ使用時,歯頸部および歯間部に食渣,プラークおよび歯肉炎を認め,BOP45.0%,PCR74.0%であった。TBIを行ったが歯間ブラシの使用,歯面へのブラシの当て込みが困難であった。電動歯ブラシ使用開始後,使用法を中心に訪問歯科衛生指導を行った結果,PCRの値に一時的な増加がみられたが,指導を重ねるにつれて徐々に改善し,2か月間でBOP4.9%,PCR53.7%まで改善した。なお,本症例報告は本人および施設管理者から文書による同意を得て実施した。
【考察】
本症例では,電動歯ブラシ導入と定期的な訪問歯科衛生指導の併用により,歯肉炎およびプラーク付着率の改善を認めた。本報告は,単例であり対照を設けていないため,TBI自体の効果を完全に除外することはできないが,巧緻性低下を有する高齢者のセルフケアの手段として,電動歯ブラシと訪問歯科衛生指導の併用が有用である可能性を示唆する一例となった。
(COI開示:なし)
(倫理審査対象外)
