講演情報

[P-084]左大腿骨転子部骨折にて入院中の超高齢患者に対し,義歯修理により経口摂取量を改善した症例

○堤 康史郎1,2、大保 直道3、柏崎 晴彦2 (1. 医療法人福和会 別府歯科医院 訪問診療部、2. 九州大学大学院歯学研究院 口腔顎顔面病態学講座 高齢者歯科学・全身管理歯科学分野、3. 医療法人福和会 行橋グリーン歯科医院)
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【緒言・目的】内閣府の令和7年版高齢社会白書によると,65歳以上の人口はおよそ3624万人で高齢者率29.3%,総務省統計局の令和7年12月の人口推計によると,90歳以上の超高齢者はおよそ218万人で主要国の中で最も高齢化が進んでいる。また,超高齢者は日常生活に制約を受けることが多く,歯科治療方針の決定に苦慮することがある。今回,左大腿骨転子部骨折にて入院中の超高齢患者に対し,歯科訪問診療にて上下顎義歯を増歯修理することを選択し,良好な経過を得た1例を経験したので報告する。
【症例および経過】初診時90歳の女性。2024年11月,自宅のトイレで転倒し左大腿骨転子部を骨折し入院中。入院先の病棟看護師より,義歯を使っても食事が摂れないため診察して欲しいと依頼され,本人やご家族に口腔内状況を説明して了承を得た後,訪問診療を開始した。口腔外所見:身長140㎝,体重43.2㎏,BMI 22.0。Activities of Daily Living(ADL)は一部介助。治療に対して協力的。口腔内所見:残存歯は上顎に9本,下顎に5本。上下義歯は所持しているも不適合であった。食形態は粥ときざみ食で摂取量は3~6割とムラがあった。同月,上下顎義歯を用いて義歯修理の印象採得を行い,1週間後に上下顎修理義歯の装着・調整を行った。2024年12月,上下顎義歯は使用良好となったため,以降,歯科衛生士による毎週の口腔衛生管理と歯科医師による隔週の残存部・義歯のチェックを行いながら口腔内環境を維持し,2025年2月退院した。また,修理義歯調整後の食形態は本人の強い希望で粥ときざみ食を維持しながら摂取量は6~10割に増加し,退院時の体重は44.3㎏まで増加した。なお,本報告の発表について患者本人及び家族より文書による同意を得ている。
【考察】左大腿骨転子部骨折にて入院中の超高齢患者に対し歯科訪問診療にて義歯修理を行い,口腔内環境と食事量を改善することができた。今後,患者の全身状態と栄養状態に配慮した歯科診療を継続したい。
(COI開示:なし)(倫理審査対象外)